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HEALTH WORDS / 用語解説

Vif蛋白

Viral infectivity factor protein

Vif蛋白とは、主としてレンチウイルス属のヒト免疫不全ウイルス(HIV)などがコードする約23kDaのアクセサリー蛋白であり、ウイルスの感染性を維持するために必須の分子である。1

Vifは Viral infectivity factor の略称であり、日本語ではウイルス感染因子などと称されることもある。1

HIV-1などのレトロウイルスの複製サイクルにおいて、Vifは宿主細胞内で発現する特定の防御因子に対抗する重要な役割を担っている。2

具体的には、宿主の細胞質内に存在するAPOBEC3GやAPOBEC3Fといったシトシンデアミナーゼ活性を持つ宿主制限因子と結合し、その機能を無効化する働きを持っている。1

通常、Vifが欠損した変異ウイルス株では、宿主のAPOBEC3Gがウイルス粒子内に取り込まれ、逆転写の過程でウイルスのゲノムであるcDNA上に多大な変異を導入してしまい、結果としてウイルスは死滅するか感染力を失う。2

しかし、正常なウイルスが持つVif蛋白は、宿主のユビキチン・プロテアソーム系を利用してAPOBEC3Gを特異的に分解するため、ウイルスは自身の遺伝情報を安全に宿主ゲノムへ統合することが可能となる。1

このようにVif蛋白は、宿主が持つ先天的な自然免疫機構である抗ウイルス活性を回避するためにウイルスが獲得した極めて巧妙な戦略分子である。2

近年の分子生物学および構造生物学の研究においては、Vif蛋白と宿主蛋白群との相互作用の詳細なメカニズムが解析されており、これら両者の結合を阻害する新しいタイプの抗HIV薬の標的としても大きな期待が寄せられている。1

特に、VifとAPOBEC3Gの複合体形成や、VifがCUL5などのE3ユビキチンリガーゼ複合体をリクルートする仕組みを断つことは、新規治療薬開発における重要なアプローチの一つとなっている。1

参考文献・出典

  1. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/49/10/49_895/_pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  2. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/lab-manual/2012-insp-manual/2219-AIDS-manual/7951-aids-m-02.html ↩1 ↩2 ↩3