HEALTH WORDS / 用語解説
くも膜細胞
くも膜細胞とは、脳や脊髄を包む3層の髄膜のうち、中層に位置するくも膜を構成する細胞のことである。1 脳脊髄液の循環や血液脳関門の維持において重要な役割を担っている。2
くも膜は硬膜の内側に存在し、その実質部分は多層の扁平な細胞によって形作られている。1 これらの細胞同士はタイト結合(密着結合)などの細胞間結合によって強固に結びついており、脳表層における物質の透過を厳密に制限する障壁としての機能を果たしている。2
くも膜の内側にはクモ膜下腔と呼ばれる空間があり、ここには脳脊髄液が満たされている。1 くも膜下腔に面する部位では、くも膜細胞が trabeculae( trabecula / 梁柱構造)と呼ばれる網目状の線維束を形成し、軟膜へとつながる緩やかな構造を維持している。2
また、くも膜細胞の一部は硬膜静脈洞へと突出してクモ膜顆粒(パーキチ体)を形成することが知られている。1 この構造を介して、古くなった脳脊髄液が静脈血へと吸収され、頭蓋内圧の恒常性が保たれている。2
近年の組織学的な研究により、くも膜細胞は単なる構造物の保持だけでなく、サイトカインの産生や免疫的な生体防御反応にも関与していることが示唆されている。1 このように、くも膜細胞は中枢神経系の環境を一定に保つための極めて不可欠な構成要素である。2