HEALTH WORDS / 用語解説
エクスポーチン1
エクスポーチン1(XPO1)とは、核外輸送に関与するカリオフェリンファミリーに属する受容体タンパク質であり、主にタンパク質やRNAを細胞核から細胞質へと輸送する機能を担う分子である12。
エクスポーチン1は、核酸と結合したタンパク質が持つ核外輸送シグナル(NES)を認識して結合し、ラットなどのGTP結合タンパク質であるRanの助けを借りて核膜孔を通過して細胞質側へ分子を輸送する機構の中心的な役割を果たしている12。
この受容体によって細胞質へ運ばれる基質には、がん抑制タンパク質や翻訳開始因子など、細胞の増殖や分化、アポトーシスの制御に極めて重要な多くのタンパク質が含まれており、遺伝子発現やシグナル伝達の調節において不可欠な生体物質である12。
近年の医学および分子生物学の研究において、エクスポーチン1は様々な悪性腫瘍の細胞内で過剰に発現している場合や、機能異常を起こしていることが明らかにされており、がん治療の重要な分子標的として注目を集めている12。
特に、エクスポーチン1の機能を阻害することでがん抑制タンパク質が細胞核内に保持され、細胞の癌化を抑えたりアポトーシスを誘導したりする薬剤の開発が進められており、一部の白血病や悪性リンパ腫などの治療薬として臨床応用されている経緯がある12。