HEALTH WORDS / 用語解説
オープンリーディングフレーム
Open Reading Frame
オープンリーディングフレームとは、DNAやRNAの塩基配列において、開始コドンから終止コドンまでの領域であり、タンパク質へと翻訳される可能性を持つ領域のことである。1
オープンリーディングフレームは、一般にORFと略されることが多い。 遺伝子の構造解析やゲノムアノテーションにおいて、新規の遺伝子を見つけ出すための重要な手がかりとなる。 分子生物学やバイオインフォマティクスの分野では、塩基配列データからタンパク質をコードしている領域を予測する際に見出される基本的な単位として広く扱われている。2
DNAの二重らせんやRNAの鎖には方向性があり、5'末端から3'末端に向かって読まれていく。 遺伝暗号は3つの塩基の組み合わせであるコドンを単位として構成されており、1つの塩基配列に対して読み枠は3つの異なる位置から開始することが可能である。 さらに二本鎖DNAにおいては両方の鎖が鋳型となる可能性があるため、理論上は1つのDNA領域に対して合計6つの異なる読み枠が存在することになる。 オープンリーディングフレームは、これら6つの読み枠のうち、途中に終止コドン(UAA、UAG、UGAなど)を挟むことなく、一定以上の長さでアミノ酸をコードし続ける領域を指すのが一般的である。
多くの場合、オープンリーディングフレームの探索は開始コドンであるAUG(メチオニンをコードする)から始まり、連続するコドンを経て終止コドンに至るまでの領域を同定する作業として行われる。 しかし、ゲノム上のすべてのオープンリーディングフレームが実際にタンパク質へ翻訳されるわけではなく、コンピュータを用いたバイオインフォマティクス解析によって予測された後、トランスクリプトーム解析やプロテオーム解析などの実験的アプローチによって、その発現や機能が検証される必要がある。 特に真核生物のゲノムにおいては、イントロンとエキソンの存在やスプライシング機構が複雑に関与するため、ゲノム配列上に見つかったオープンリーディングフレームがそのまま最終的なタンパク質構造に対応するとは限らない。
近年では、これまではタンパク質をコードしない領域(Non-coding RNAなど)と考えられていたRNA分子からも、短いオープンリーディングフレーム(sORF)が存在し、実際に微小なペプチドへと翻訳されている例が次々と発見されている。 これにより、ゲノムの遺伝情報フローの理解はさらに深まりつつあり、オープンリーディングフレームの網羅的な探索と解析は、分子生物学における極めて重要な研究課題の一つとなっている。
参考文献・出典
- Gen-Info 遺伝学用語辞典: https://www.nig.ac.jp/color/glossary/glossary_a.html ↩
- NBDC ライフサイエンスデータベース統合推進事業 統合TV: https://togotv.dbcls.jp/140226.html ↩