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HEALTH WORDS / 用語解説

カハール・レツィウス細胞

Cajal-Retzius cell

カハール・レツィウス細胞とは、哺乳動物の大脳皮質の発生初期における辺縁帯(のちの分子層)に特異的に出現し、大脳皮質の層形成において中心的な役割を果たす大型のニューロンである1。スペインの神経解剖学者であるサンティアゴ・ラモン・イ・カハールとスウェーデンの解剖学者であるグスタフ・レツィウスによってそれぞれ発見された細胞であり、両者の名を取って命名された1。

発生初期の大脳皮質において、カハール・レツィウス細胞は大脳皮質の最も表層側に位置する辺縁帯に分布している2。この細胞の最も重要な機能は、神経細胞の移動と大脳皮質の正常な層構造の形成に不可欠な細胞外マトリクス蛋白質であるリーリン(Reelin)を分泌することである2。

大脳皮質の発生過程において、脳室帯で産生された神経原細胞は外側に向かって移動する。この際、先に移動した神経細胞を追い越してさらに外側へと移動する「内部外向き移動」が行われるが、カハール・レツィウス細胞が分泌するリーリンは、この移動してきた神経細胞が適切な位置で停止するためのシグナルとして働く3。このメカニズムに異常が生じると、大脳皮質の層構造が逆転するなどの深刻な形成異常を引き起こすことが知られている2。

形態学的には、カハール・レツィウス細胞は水平方向に長く伸びる樹状突起と軸索を持ち、大脳皮質の接線方向のネットワークを形成している2。発生初期のGABA作動性の興奮性あるいは抑制性のシナプス入力を受け取ることが electrophysiological な研究から明らかにされている1。

多くの一過性の胎生期細胞と同様に、カハール・レツィウス細胞の大部分は哺乳動物の脳の発達の進展とともにアポトーシスなどの細胞死によって消失するか、あるいはその形態や性質を変化させると考えられている2。ごく一部は成熟した脳の分子層において残存することが指摘されているが、その主要な役割はあくまで胎生期および生後初期の大脳皮質層形成の制御にある2。

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.id/en/detail?JGLOBAL_ID=200902206277873656 ↩1 ↩2 ↩3
  2. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%84%E3%82%A3%E3%82%A6%E3%82%B9%E7%B4%B0%E8%83%9E ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  3. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%84%E3%82%A3%E3%82%A6%E3%82%B9%E7%B4%B0%E8%83%9E ↩