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HEALTH WORDS / 用語解説

Reelin

Reelin

Reelinとは、主として脳の発達および神経細胞の遊走や位置決めにおいて重要な役割を果たす大型の細胞外マトリックスタンパク質である。1

Reelin遺伝子の変異は、マウスにおけるreeler表現型として知られる脳の著しい構造異常を引き起こす原因として発見された。1

このタンパク質は胎児期から成体期にかけて中枢神経系で発現しており、特に大脳皮質、小脳、海馬などの構造形成において不可欠な分子として機能している。2

哺乳類の大脳皮質の形成過程において、神経細胞は脳室周囲の神経節隆起などの領域から軟膜側へと移動する。1

新生した神経細胞は移動の際に、すでに存在している古い神経細胞を追い越して表面側へと向かう「インサイドアウト(inside-out)機構」と呼ばれる順序で配置される。1

Reelinは大脳皮質の表層に存在するカハール・レツィウス細胞などから分泌され、この細胞の正しい層構造が形成されるための位置情報としてのシグナルを神経細胞に提供している。2

細胞外に分泌されたReelin分子は、神経細胞の細胞膜上に存在する受容体であるApoER2やVLDLRといった低密度リポタンパク質受容体ファミリーのメンバーと結合する。1

これらの受容体との結合をきっかけとして、細胞内のアダプタータンパク質であるDab1がチロシンリン酸化を受けるカスケードが活性化される。1

Dab1のリン酸化は、下流の様々なシグナル伝達経路を動かし、アクチン骨格の動態や細胞の運動性、さらには遺伝子の発現を調節することによって神経細胞の遊走を正確に制御する。1

成体の脳においてもReelinは発現し続けており、海馬の歯状回などの領域におけるシナプス可塑性、長期増強、さらには神経新生の調節に関与していることが示されている。3

このような神経系における多彩な機能を持つため、Reelinのシグナル伝達系の異常は、自閉症スペクトラム障害、統合失調症、アルツハイマー病などの様々な神経精神疾患の病態に関与していると考えられている。4

参考文献・出典

  1. Reelin signaling in neurodevelopment and synaptogenesis: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3056456/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
  2. Reelin in the formation and maintenance of cortical structures: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4231885/ ↩1 ↩2
  3. Reelin in the adult brain: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2808269/ ↩
  4. Reelin and neuropsychiatric disorders: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3250644/ ↩