HEALTH WORDS / 用語解説
コンソリデーション
Consolidation
コンソリデーションとは、医学・生物学の文脈において、記憶や学習の成果が時間経過とともに安定化し、脳内で固定される神経学的・認知的なプロセスを指す用語である。1
この記憶の固定化プロセスは、一般的に大きく二つの段階に分類される。一つ目はシナプスレベルでの急速な変化を伴うシナプス・コンソリデーションであり、二つ目は複数の脳領域間、特に海馬から大脳皮質への情報転送とネットワーク全体の再組織化を伴うシステム・コンソリデーションである。2
神経科学および認知神経科学の研究において、短期記憶や作業記憶として一時的に保持された情報は、睡眠や休息といった特定の生理学的状態にある間にコンソリデーションを受けることで、長期にわたって保持される長期記憶へと変換されることが明らかにされている。3
分子生物学的な視点からは、コンソリデーションの過程において、神経伝達物質の受容体調整やタンパク質合成、さらには遺伝子の転写および翻訳といった一連の複雑な生化学的カスケードが脳内の神経細胞で活性化されることが知られている。これらの分子的変化がシナプス可塑性を長期的に維持させ、記憶の物理的な基盤を形成する。4
また、近年の脳機能イメージング技術を用いた研究などにより、一度コンソリデーションされた記憶であっても、想起されることによって一時的に不安定な状態に戻り、再び安定化するプロセスを経ることが判明している。この再安定化の仕組みはリコンソリデーション(再固定化)と呼ばれ、記憶の学習・記憶障害の治療やPTSDなどの病態理解においても極めて重要な概念として注目を集めている。5
参考文献・出典
- 国立国会図書館リサーチ・ナビ: https://rnavi.ndl.go.jp/jp/materials/theme_hon_400008.html ↩
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902220932599727 ↩
- CiNii Research: https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282679545417856 ↩
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201302061036235443 ↩
- CiNii Research: https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001205386008320 ↩