HEALTH WORDS / 用語解説
サプレッサT細胞
Suppressor T cell
サプレッサT細胞とは、免疫応答を抑制または制御する機能を持つT細胞の一種である。1
かつてはヘルパーT細胞やキラーT細胞と並ぶ主要なT細胞のサブセットとして広く認識され、過剰な免疫反応や自己免疫疾患を防ぐ中心的な役割を担うと考えられていた。2
170年代から1980年代初頭にかけて、免疫学の分野においてサプレッサT細胞の存在とその抗原特異的な免疫抑制作用に関する多数の研究論文が発表された。2
しかしながら、当時の技術ではサプレッサT細胞に特異的な表面抗原や遺伝子マーカーを明確に特定することが極めて困難であった。3
そのため、実験結果の再現性をめぐって学術界で激しい論争が巻き起こり、一時はその実在自体に対して懐疑的な見方が強まることになった。3
その後、1990年代末から2000年代にかけて、制御性T細胞(Regulatory T cell: Treg)の存在が発見され、CD4陽性かつCD25陽性を示す細胞群としてその実体が詳細に解明されるに至った。3
この制御性T細胞の確立により、歴史的に提唱されてきたサプレッサT細胞の概念は、分子生物学的な実証を伴う形で現代の免疫学において再評価されることとなった。3