HEALTH WORDS / 用語解説
免疫学
Immunology
免疫学とは、生体が自己と非自己を識別し、非自己である病原体や異物を排除して身体の恒常性を維持する仕組みである免疫について研究する生物医学の分野である。1 免疫学は基礎医学および臨床医学の重要な柱であり、感染症の防御機構だけでなく、アレルギー、自己免疫疾患、悪性腫瘍など多様な病態の解明において中心的な役割を果たしている。1
生体の免疫機構は、大きく自然免疫と獲得免疫(適応免疫)の二つに大別される。2 自然免疫は、生体に備わった初期の防御システムであり、病原体が持つ共通の特徴をマクロファージや好中球などの貪食細胞が素早く認識して排除する。2 一方、獲得免疫は、侵入した特定の抗原をリンパ球であるT細胞やB細胞が特異的に認識し、より強力かつ持続的な攻撃を行うシステムである。2
獲得免疫の特徴の一つに免疫記憶がある。2 一度排除した抗原の情報を記憶細胞が長期間保持することにより、再び同じ病原体が侵入した際には、初回よりも迅速かつ強力な二次応答を引き起こすことが可能となる。2 この免疫記憶の仕組みを人工的に応用したものがワクチンであり、感染症の予防において極めて重要な医学的介入となっている。2
また、免疫応答においては、細胞間の情報伝達物質であるサイトカインが重要な役割を担っている。2 サイトカインは免疫担当細胞から分泌され、他の細胞の増殖や分化、活性化を制御することで、全体の免疫反応のバランスを調整している。2 しかし、この免疫反応の調節に破綻が生じると、過剰な免疫応答によるアレルギーや自己免疫疾患が引き起こされるほか、免疫不全状態では日和見感染症のリスクが増加するなど、生体にとって重大な障害をもたらす原因となる。1