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HEALTH WORDS / 用語解説

ストレプトリジンS

Streptolysin S

ストレプトリジンSとは、主にA群溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)によって産生される酸素安定性の溶血毒(細胞膜障害性毒素)である。12

化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)はヒトに様々な感染症を引き起こす病原細菌であり、その病原性発現において数多くの外毒素や酵素を産生することが知られている。1 ストレプトリジンSはその代表的な溶血素の一つであり、赤血球をはじめとする宿主の各種細胞に対して溶血作用および細胞毒性を示す。2

名称に含まれる「S」は、培地表面での血液寒天培地上において好気性条件下でも溶血環を形成する性質(surface or serum-dependent)に由来している。1 もう一つの主要な溶血毒であるストレプトリジンOとは異なり、ストレプトリジンSは酸素に対して安定であり、大気中においても溶血活性を失わないという特徴を持っている。1

また、ストレプトリジンSは非抗原性であることもストレプトリジンOとの大きな違いとして挙げられる。1 ストレプトリジンOに対する抗体(ASO抗体)は臨床検査において溶連菌感染の診断指標として広く利用されるが、ストレプトリジンS自体は宿主の免疫系に対して中和抗体を誘導しにくい性質を持つ。1

分子生物学的な研究により、ストレプトリジンSの生合成には特定の遺伝子群(sag遺伝子クラスターなど)が関与していることが明らかにされている。1 これらの遺伝子によってコードされるペプチド前駆体や修飾酵素が協調して働くことで、生理活性を持つ分子へと変換される。1

病原性の観点から、ストレプトリジンSは細菌が宿主の免疫防御機構を回避し、組織内へ侵入・感染を拡大させるための重要な病原因子として機能している。2 細胞膜の構造を破壊することによって細胞障害を引き起こし、宿主の炎症反応や病態形成に深く関与していると考えられている。2

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201007028169228965 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
  2. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201002271890259880 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4