HEALTH WORDS / 用語解説
タンパク質キナーゼ
Protein kinase
タンパク質キナーゼとは、ATPなどの高エネルギーリン酸化合物からリン酸基を標的となるタンパク質のアミノ酸残基(主にセリン、スレオニン、チロシン)へと転移させる酵素の総称である。1
この酵素によるリン酸基の付加(リン酸化)は、タンパク質の立体構造を変化させ、その酵素活性、分子間相互作用、細胞内局在などを変化させる。
細胞内情報伝達(シグナル伝達)において中心的な役割を果たしており、細胞の増殖、分化、代謝、運動、アポトーシスといった多様な生命現象の調節に深く関与している。2
ヒトのゲノムには500種類以上のタンパク質キナーゼをコードする遺伝子が存在し、これらは「キネソーム」または「キナーゼーム」と呼ばれるファミリーを形成している。
その構造や基質特異性に基づき、主にセリン・スレオニンキナーゼとチロシンキナーゼに大別されるほか、両方の性質を持つデュアル特異性キナーゼなども存在する。
タンパク質キナーゼの活性異常は、がん、糖尿病、自己免疫疾患、神経変性疾患など、多くのヒト疾患の発症・進展に直接関与していることが明らかにされている。
そのため、疾患の原因となる特定のタンパク質キナーゼの機能を阻害する低分子化合物などが分子標的薬(キナーゼ阻害薬)として多数開発されており、がん治療などの臨床現場で広く応用されている。3
参考文献・出典
- GPI - 一般財団法人 蛋白質研究奨励会 蛋白質構造データバンク: https://pdbj.org/mine/summary/1jqh ↩
- 生命科学データベースプロジェクト - 統合TV: https://togotv.dbcls.jp/hbr201103.html ↩
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 - 審査報告書: https://www.pmda.go.jp/drugs/2001/P200100057/62013700_21000AMZ00414_A101_1.pdf ↩