HEALTH WORDS / 用語解説
チミジレートシンターゼ
Thymidylate synthase
チミジレートシンターゼとは、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)をメチル化してデオキシチミジン一リン酸(dTMP)へと変換する反応を触媒する酵素である。1 2
本酵素は、細胞内のDNA合成および細胞分裂に不可欠なピリミジン代謝経路において中心的な役割を担っている。1 2
チミジレートシンターゼの触媒反応では、補酵素としてメチレンテトラヒドロ葉酸が利用され、これがテトラヒドロ葉酸へと酸化されると同時に、デオキシウリジン一リン酸のC5位へのメチル転移が行われてデオキシチミジン一リン酸が生成される。1
この反応によって産生されるデオキシチミジン一リン酸は、さらにリン酸化されてデオキシチミジン三リン酸(dTTP)となり、DNA複製および修復の際の必須基質として消費される。1
生体内でDNAを急速に増殖させる必要がある組織、特に悪性腫瘍(がん)の細胞においては、DNAの構成単位であるdTTPを絶えず供給し続けるためにチミジレートシンターゼの活性が亢進している。2
そのため、チミジレートシンターゼは抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)の重要な分子標的の一つとなっている。2
代表的なフッ化ピリミジン系抗がん剤である5-フルオロウラシル(5-FU)は、体内で代謝されて活性型代謝物となり、本酵素と共有結合を形成してその働きを強力に阻害する。1 2
この阻害によりデオキシチミジン一リン酸の生合成が停止すると、DNAの合成および伸長が阻害され、最終的に細胞死(アポトーシス)が誘導される。1 2