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HEALTH WORDS / 用語解説

ニューレキシン1

Neurexin-1

ニューレキシン1とは、神経細胞間におけるシナプスの形成や接着、機能維持に深く関与する細胞接着分子の一種である。1

ニューレキシン1は脊椎動物の中枢神経系において、シナプス前部に局在する主要な膜タンパク質として機能している。2

本分子は神経細胞同士が正確に結合するための接着装置として働き、シナプスの構造的な足場を提供するだけでなく、神経伝達の効率や可塑性の制御にも寄与している。1

ヒトにおいては、ニューレキシン1をコードする遺伝子としてNRXN1遺伝子が2番染色体の短腕(2p21)に位置していることが知られている。1

NRXN1遺伝子は非常に巨大なゲノム領域を占めており、広範な転写産物を生成するために複雑な選択的スプライシングを受けるという特徴を持っている。2

この選択的スプライシングや複数のプロモーター利用により、数千種類にも及ぶ多様なアイソフォームが作り出され、神経回路の複雑性と多様性の維持基盤となっている。1

ニューレキシン1の主な結合パートナーとしては、シナプス後部に存在するリガンドであるニュリジン(ネリジンとも訳されるNLGN)などが広く知られている。1

ニューレキシンとニュリジンが細胞外でヘテロフィリックに相互作用することによって、興奮性および抑制性のシナプスにおけるシナプス形成が誘導され、神経伝達物質の放出装置や受容体の集積が促進される。2

近年では、分子生物学や遺伝学の発展に伴い、ニューレキシン1をコードするNRXN1遺伝子の欠失、変異、あるいはコピー数変異(CNV)が、様々な神経発達障害や精神疾患の病態に密接に関与していることが明らかにされている。1

具体的には、自閉スペクトラム症(ASD)、統合失調症、知的障害、てんかんなどの疾患において、NRXN1遺伝子の異常が高頻度で検出される事例が報告されている。2

このように、ニューレキシン1は単なる細胞接着分子としての役割を超えて、脳内における複雑な神経回路の構築と維持、さらには高次脳機能の異常を解明するための極めて重要な分子標的として、世界中の研究者から多大な注目を集めている。1

参考文献・出典

  1. Genatlas: https://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=NRXN1 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
  2. Reimagine: https://www.reimagine.science/gene/human/nrxn1 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4