HEALTH WORDS / 用語解説
ヌクレソーム
Nucleosome
ヌクレソームとは、真核生物の細胞核内においてDNAがヒストンタンパク質周囲に巻き付いて形成される、クロマチンの基本的かつ最小の構造単位である。1
真核生物の細胞に存在するゲノムDNAは非常に長いため、限られた空間である核内に効率よく収納される必要がある。2 この収納問題を解決するため、DNAはタンパク質であるヒストンと結合して折り畳まれている。2
ヌクレソームの構造は、4種類のヒストン(H2A、H2B、H3、H4)がそれぞれ2分子ずつ集まったヒストン八量体(core histone octamer)を中心としている。1 このヒストン八量体の周囲に、約146塩基対のDNAが左巻きに1.65回転巻き付いている。1
隣接するヌクレソーム同士の間には、リンカーDNAと呼ばれる短いDNA領域が存在しており、この部分にはリンカーヒストンであるH1などが結合することもある。1 この「DNAがヒストンに巻き付いたビーズ状の構造」が連続して並ぶことで、クロマチン全体としては「糸に beads(ビーズ)を通したような姿」を形成する。2
ヌクレソームは単にDNAを細胞核内にコンパクトに収納する物理的な役割を持つだけでなく、遺伝子発現の調節やDNA複製、DNA修復といった様々な生命維持活動において極めて重要な制御プラットフォームとして機能している。1 特に、ヒストンのアミノ酸末端テール部に対するメチル化、アセチル化、リン酸化などの多様な化学修飾(エピジェネティクス制御)は、クロマチンの高次構造の弛緩や凝縮を引き起こし、転写因子やRNAポリメラーゼなどのタンパク質がDNA上の特定の塩基配列にアクセスできるかどうかを直接的に決定している。2