HEALTH WORDS / 用語解説
プラスミノゲン活性化酵素
Plasminogen activator
プラスミノゲン活性化酵素とは、不活性な前駆体であるプラスミノゲンを限定分解し、タンパク質分解酵素であるプラスミンへと変換するセリン蛋白分解酵素の総称である。1
生物体内において、プラスミノゲン活性化酵素は線溶系の中核を担う分子として機能している。2 血管内や組織において不溶性のフィブリン(フィブリン)を分解する線溶のプロセスを開始させる上で、必須の役割を果たしている。2 この酵素によって生成されたプラスミンは、血栓の主要な構成成分であるフィブリンネットワークを効率的に切断し、血液凝固によって生じた血栓を溶解する血栓溶解作用を発揮する。1
哺乳類の体内においては、主に組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)とウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子(u-PA)という2つの主要な分子種が存在することが知られている。2 組織型プラスミノゲン活性化因子は主に血管内皮細胞から産生され、フィブリンに対して高い親和性を示しながら線溶を局所的に誘導するという特徴を持つ。2 一方、ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子は腎臓や尿をはじめ、様々な組織の細胞表面に存在する受容体と結合し、細胞外基質の分解や細胞移動、組織修復、さらには腫瘍の浸潤や転移といった生理的・病理的なプロセスに関与している。3
これらの酵素の活性は、生体内において厳密に制御されている。プラスミノゲン活性化因子インヒビター-1(PAI-1)やプラスミノゲン活性化因子インヒビター-2(PAI-2)といった特異的な阻害物質が作用することで、過剰な線溶や蛋白分解が抑制され、生体の恒常性が維持されている。2
医学的な臨床の場においては、プラスミノゲン活性化酵素のこうした強力な血栓溶解作用が血栓症の治療に応用されている。遺伝子組み換え技術によって製造された組織型プラスミノゲン活性化因子などは、急性心筋梗塞や虚血性脳卒中などの血栓塞栓症に対する血栓溶解療法において、閉塞した血管を再開通させるための重要な医薬品として広く使用されている。1
参考文献・出典
- JDreamDataBase 科学技術用語情報: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906059293148119 ↩1 ↩2 ↩3
- 生化学辞典 第4期: https://webview.isho.jp/vocab/detail/I00645 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- 生化学辞典 第4期: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906059293148119 ↩