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HEALTH WORDS / 用語解説

ボールド効果

ボールド効果(Bold effect)とは、脳血流の変化に伴う血液中の酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの相対的な濃度比の変化を利用して、脳の活動領域を磁気共鳴画像法(MRI)によって可視化する原理、およびその現象そのものを指す用語である。1

この効果の名称は血中酸素濃度依存性(Blood-Oxygen-Level Dependent)の頭文字をとったものであり、神経活動が活発化した部位において局所的な血流が神経活動のエネルギー代謝に必要な消費量を上回って急増するという生理学的特性を基盤としている。2

脳の神経細胞が活動を行う際には、酸素やブドウ糖などのエネルギーが必要となるが、神経活動が亢進した直後には、消費される酸素の量を補って余りあるほどの多量の動脈血が当該局所へ流入する。1

この結果として、活動部位における毛細血管および静脈血中の脱酸素化ヘモグロビンの絶対量が相対的に減少することになる。2

脱酸素化ヘモグロビンは鉄イオンを多く含んでおり、強い磁気特性(常磁性)を持つため、周囲の磁場を不均一にし、磁気共鳴画像法(MRI)の画像信号を低下させる性質がある。1

したがって、神経活動に伴って脱酸素化ヘモグロビンが減少すると、磁場の不均一性が和らぎ、結果としてT2スター強調画像などのMRI信号強度が上昇することになる。2

この信号の微小な変化を検出することによって、侵襲的な処置を伴うことなく、生体の脳における認知機能や運動機能に伴う機能的局在を画像として非侵襲的に描き出すことが可能となる。1

ボールド効果を利用した画像法は機能的磁気共鳴画像法(fMRI)の主流となっており、基礎医学や神経科学の分野だけでなく、精神医学や脳神経外科における臨床診断や手術前の脳機能評価などにおいても広く応用されている。2

ただし、ボールド効果に基づく信号はあくまで血流動態の変化を間接的に反映したものであり、直接的な電気信号である神経活動そのものを測定しているわけではない点には注意が必要である。1

さらに、神経活動と血流応答の間には数秒程度の時間的遅延が存在するため、時間分解能の観点においては脳波測定などの他の生体計測手法と比較して劣るという特性も併せ持っている。2

参考文献・出典

  1. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjmrt/29/1/29_3/_pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  2. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmbe/45/3/45_3_363/_pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5