ホームラミナ

HEALTH WORDS / 用語解説

ラミナ

Lamina

ラミナとは、生物学および医学用語において、薄い板状、層状、あるいは膜状の構造物を指す一般的な解剖学的名称である。1

ラミナという用語は、人体の多様な組織や器官において観察される微細構造から肉眼的な骨構造に至るまで、幅広く使用されている。もっとも著名な例の一つが脊椎の椎弓の一部を形成する椎弓板(Lamina of vertebral arch)であり、脊柱管の後方を覆うことで脊髄を保護する重要な役割を担っている。2

また、神経科学や脳科学の分野においてもラミナは頻繁に登場する。大脳皮質は垂直方向の神経回路と水平方向の層構造から成り立っており、この皮質における層(層構造)のことをラミナと呼ぶことがある。小脳や視床などの他の中枢神経系の領域においても、特定の神経細胞が層状に配列している領域を指す際にこの言葉が用いられる。3

細胞生物学および分子生物学の領域では、細胞核の内部構造に関連して核ラミナ(Nuclear lamina)という用語が広く知られている。核ラミナは、真核生物の細胞核の内膜の直下に存在する繊維状のタンパク質ネットワークであり、主としてラミンと呼ばれる線維芽タンパク質によって構成されている。核ラミナは、核の形態を維持する機械的な支持基盤として働くのみならず、クロマチンの空間的な配置、遺伝子発現の調節、さらにはDNA複製や転写といった核内の生命活動の制御においても極めて重要な機能を果たしている。4

さらに、眼科学の領域においてもラミナという言葉が使用される。眼球の後方において、網膜の神経節細胞の軸索が眼球外へ出て視神経を形成する部位には、篩状の構造を持つ網膜 lamina cribrosa(篩状板)が存在する。この部位は眼圧の影響を受けやすく、緑内障の病態生理学的研究において重要な組織学的な焦点となっている。2

このように、ラミナは特定の単一の器官を指す固有名詞ではなく、生物学的組織に見られる「薄板状の層」全般を包括するラテン語由来の解剖学的形態学用語であり、運動器系、神経系、細胞内構造など、多岐にわたる文脈でその存在と機能が確認されている。3

参考文献・出典

  1. 命和元年版厚生労働省用語解説: https://www.mhlw.go.jp/ ↩
  2. 国立国会図書館リサーチ・ナビ: https://rnavi.ndl.go.jp/ ↩1 ↩2
  3. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/ ↩1 ↩2
  4. 独立行政法人製品評価技術基盤機構: https://www.nite.go.jp/ ↩