HEALTH WORDS / 用語解説
下後鋸筋
Serratus posterior inferior muscle
下後鋸筋とは、胸郭の背部下方に位置し、胸腰筋膜を介して下位胸椎および上位腰椎の棘突起から起こり、下位肋骨の外面へと斜め上方外側に向かって停止する骨格筋の一つである。1
解剖学的な位置関係として、下後鋸筋は広背筋の深層、および脊柱起立筋の表層に位置しており、胸腰筋膜の腰肋部において深層の葉と結合している。2
筋の起始部は、第11・12胸椎および第1・2腰椎の棘突起、ならびにそれらの棘上靭帯から腱膜を介して起こることが特徴である。3
そこから外側上方へ向かった筋束は、下方の4つの肋骨(第9ないし第12肋骨)の角の外側における下縁に停止する。1
神経支配に関しては、下後鋸筋は肋間神経の枝である下位の肋間神経(第9から第12肋間神経の枝)によって支配されている。2
機能的な側面としては、下後鋸筋は下位の肋骨を下方に引き下げる作用、あるいは吸気時に横隔膜などの呼吸運動に対して胸郭の下部を固定して肋骨の過度な上方への引き上げに抵抗する補助的な呼吸筋としての役割が指摘されている。4
しかしながら、ヒトにおける下後鋸筋の筋電図学的研究においては、通常の呼吸運動や姿勢保持における寄与度は比較的小さく、その発達の程度や機能には個人差が認められることがある。2
臨床医学やリハビリテーションの領域においては、腰背部痛や筋筋膜性疼痛症候群の原因筋の一つとして言及されることがあり、胸腰筋膜の緊張や背部の反復的な動作に伴う過負荷が評価の対象となることがある。3
参考文献・出典
- 日本人体解剖学 上巻: https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524227914/ ↩1 ↩2
- 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 解剖学: https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/30922 ↩1 ↩2 ↩3
- プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系: https://www.gakken.co.jp/lp/prometheus/ ↩1 ↩2
- Kinesiology of the Musculoskeletal System: https://www.elsevier.com/books/kinesiology-of-the-culoskeletal-system-9780323287037 ↩