HEALTH WORDS / 用語解説
仙骨子宮靭帯
uterosacral ligament
仙骨子宮靭帯とは、子宮の頸部と仙骨を結ぶ線維筋性組織の靭帯であり、骨盤内において子宮を正常な位置に保持する重要な支持組織の一つである。1 2
この靭帯は、子宮頸部の後面から起こり、直腸の側方を通過して仙骨前面の筋膜に至る走行をとる。骨盤底の結合織系の一部をなし、広間膜の下部や基靭帯などとともに子宮を骨盤腔内で安定させる骨盤内臓の支柱として機能している。2
組織学的には、平滑筋線維、膠原繊維、および弾性繊維を含んで構成されており、単なる受動的な結合組織ではなく、一定の張力を維持する性質を持つ。この構造により、立位時や腹圧がかかった際にも子宮や膣が下方へ逸脱するのを防ぐ役割を果たしている。1
臨床的には、仙骨子宮靭帯は子宮脱や骨盤臓器脱の病態およびその手術療法において極めて重要な解剖学的目印となる。骨盤臓器脱に対する手術では、弱くなった靭帯を補強したり、仙骨側に固定したりする手技が行われることがある。3
また、婦人科領域の疾患である子宮内膜症の好発部位の一つとしても知られている。子宮内膜症病巣がこの靭帯に形成されると、深部子宮内膜症となり、月経困難症や性交痛、排便痛などの激しい疼痛を引き起こす原因となる。内診や画像検査において、この部位の硬結や圧痛を確認することは、疾患の診断において重要な手がかりとなる。3
参考文献・出典
- 南山堂 医学大辞典: https://www.nanzando.com/ ↩1 ↩2
- 解剖学ウェブ: https://www.AnatomyStandard.com/ja/ ↩1 ↩2
- 日本産科婦人科学会: https://www.jsog.or.jp/ ↩1 ↩2