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HEALTH WORDS / 用語解説

倍加時間

Doubling time

倍加時間とは、ある細胞集団や腫瘍、ウイルスなどの量や数が、分裂や増殖によって元の2倍に達するまでに要する時間を指す指標である。1

この概念は基礎生物学から臨床医学に至るまで広く用いられており、特に悪性腫瘍(がん)の成長速度を評価する上で重要なパラメータとなる。固形腫瘍においては、画像診断などを用いて測定された腫瘍径や体積の変化から推計され、がんの生物学的特性や悪性度を間接的に知るための手がかりとされる。一般に、倍加時間が短い腫瘍ほど急速に増大する傾向があると理解されている。

細胞培養の分野においても倍加時間は極めて重要な意味を持つ。培養細胞が対数増殖期にあるとき、その細胞数の増加速度を評価するために用いられ、細胞株の性質の維持や実験の計画において不可欠な数値となる。培養条件や栄養素の供給状態、温度などの環境因子によって倍加時間は変動するため、同一の細胞株であっても条件ごとの正確な測定と管理が求められる。2

また、微生物学やウイルス学の領域においても応用されている。細菌やウイルスなどの病原体が増殖する速度を測る指標として活用され、感染症の病態理解や疫学的な解析、さらには薬剤耐性や治療法の効果を評価する際の基礎データとして利用される。このように、倍加時間は生命科学の多岐にわたる分野で、増殖動態を定量的に比較・評価するための普遍的な物差しとして機能している。

参考文献・出典

  1. 国立がん研究センター 希少がんセンター: https://rareoc.ncc.go.jp/term/detail/297 ↩
  2. 国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター: https://www.nihs.go.jp/osh/jisshu/suzuoki.pdf ↩