HEALTH WORDS / 用語解説
光増感作用
Photosensitization
光増感作用とは、特定の物質が光を吸収することによってエネルギーを他の一連の分子に伝達し、化学反応を引き起こしたり促進させたりする現象のことである。1 また、光増感作用を示す物質は光増感剤と呼ばれている。1
光増感作用の基本的なメカニズムとしては、光増感剤が特定の波長の光(紫外線や可視光線など)を吸収して励起状態となることから始まる。1 励起状態となった光増感剤は、基底状態の酸素分子に対してエネルギーを与え、一重項酸素などの活性酸素種を生成する。2 このように活性酸素やフリーラジカルを介して周囲の生体分子(タンパク質、脂質、核酸など)に損傷を与える反応機構は、I型光反応およびII型光反応に大別される。2
医学や生物学の分野において、この光増感作用は光線力学療法(PDT)などのがん治療や感染症治療に応用されている。2 光線力学療法では、腫瘍組織などに選択的に集積する光増感剤を投与した上で、特定の波長の光を照射することで、発生した一重項酸素などの活性酸素によって選択的に細胞を壊死あるいはアポトーシスに導く。2 この手法は外科手術に比べて侵襲が少なく、臓器の機能温存が期待できる治療法として研究および臨床応用が進められている。2
一方で、光増感作用は毒性学や皮膚科学の領域においても重要な現象である。1 医薬品や化粧品、あるいは環境中の化学物質の中には、体内に取り込まれたり皮膚に付着したりした後に太陽光などの光を浴びることで光増感作用を示し、光線過敏症や光毒性といった皮膚障害を引き起こすものがある。1 そのため、新規の化学物質や医薬品の開発においては、光安全性試験などを通じて光増感作用の有無やその危険性を評価することが不可欠とされている。1