HEALTH WORDS / 用語解説
活性酸素
reactive oxygen
呼吸で取り込んだ酸素が体内で代謝される過程で、他の物質と反応しやすく不安定な状態に変化する。このような不安定で他の物質を酸化する作用を持つ、酸素に関連する分子やイオンを活性酸素と呼ぶ。
活性酸素の作用
活性酸素は殺菌効果があり、外部から侵入した菌に対抗するなど体に必要な働きもするが、過剰に増えると脂質などの細胞を酸化する原因となる。タンパク質上のシステイン残基を酸化するとされる。1
人体は酸素を利用する過程で様々な活性酸素が発生するため、それを取り除く仕組みを持っているが、過剰な増加や想定していない箇所での活性酸素の発生などによってストレスを受けることになる。これを酸化ストレスと呼ぶ。
過酸化脂質の原因となる活性酸素(フリーラジカル、Reactive oxygen species; ROS)は体内で日常的に生成しているが、健康なヒトの場合は抗酸化機構と過酸化の修復機構が正常かつ効果的に働くため、酸化障害はほとんど顕在化しない。しかし、様々な要因により強い酸化ストレスが生じると、このバランスが崩れ、脂質の過酸化が進行する。2
活性酸素種は細胞に損傷を与えうる、反応性の高い有害な物質と考えられています。活性酸素種が細胞膜や細胞小器官と反応して過酸化脂質を生成し、この過酸化脂質はDNAやタンパク質の正常な代謝を障害すると考えられ、GSTT2は過酸化脂質を代謝する酵素の一つです。3
以上のように活性酸素はがんや動脈硬化などの様々な疾患を引き起こす原因になり得るとされる。
一方で、活性酸素は生体内の酵素の働きにより積極的に産生されており、生理的な役割も担うと推測されていた。実際に記憶の形成に必要不可欠であることが確認されており、必要な活性酸素をビタミンEによって除去すると運動記憶が阻害されることが報告されている。4
活性酸素の種類56
以下の活性酸素に分類される物質を総称して活性酸素種(ROS)と呼ぶ。
フリーラジカル
活性酸素に容易に変化する物質
過酸化脂質
活性酸素の発生原因
血流が一定時間止まった後に血流が再開すると、大量の活性酸素が発生し、それがしびれの原因になっていると考えられている。7
発生場所
体内で最も酸素が消費されるミトコンドリアが主な発生源。ミトコンドリアの電子伝達系によるATP生産の過程で起こる、酸素の不完全な還元によって発生するとされる。8
生体内の主な活性酸素種発生源はミトコンドリアです。ミトコンドリアは生体内の約95%の酸素を消費し、そのうち1~3%が活性酸素種に変換されると推測されています。9
活性酸素の除去
抗酸化作用を持つ栄養素(ビタミンE、リコピン、βカロテンなど)の摂取によって体内の活性酸素を減らすことができる。
活性酸素の歴史
放射線によるラジカルの発生は1900年前後に知られていたが、放射線以外にもそれが発生することが、1960年代の研究によりスーパーオキシドが発見されたことを期に知られるようになった。
1960年代にスーパーオキシドの発見などから、OHラジカルなどの活性種は必ずしも放射線照射によらずとも、光や酸素に依存する生物の代謝系において屡々生成する機会 があり、それらが色々な疾病から老化など生体機能に深刻な影響を与えることがあきらかになって、今日改めて活性酸素と呼んでその生成と反応が化学と生物学の世界におIナる重要な問題として大きく注目されるようになったのです。10
参考文献・出典
- 広島大学大学院医歯薬学総合研究科創製医科学専攻探索医科学講座医化学研究室 研究内容紹介(鎌田グループ) ストレスに応答したNF-κBの活性化機構と細胞応答の解析: https://home.hiroshima-u.ac.jp/ikagaku/researches_kamata.html ↩
- 過酸化脂質と生活習慣病 東北大学大学院農学研究科機能分子解析学分野 宮澤陽夫: http://www.nncj.nestle.co.jp/asset-library/documents/04-%E5%AE%AE%E6%BE%A4.pdf ↩
- iPS細胞由来神経堤細胞を用いてシャルコー・マリー・トゥース病の病態に関連する分子変化を解明|ニュース|ニュース・イベント|CiRA(サイラ) | 京都大学 iPS細胞研究所: http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/170721-110000.html ↩
- 悪玉因子、活性酸素が記憶形成に必要であることを解明 ―抗酸化物質の過剰摂取に警鐘― | 京都大学: https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-03-06 ↩
- 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療情報解析学研究室 和田光弘 機能性食品の活性酸素種消去能の評価: http://www.ph.nagasaki-u.ac.jp/openseminar/data/pharma/030828.pdf ↩
- 酸化ストレスと健康(江口 裕伸、藤原 範子、大河原 知水、鈴木 敬一郎、谷口 直之): http://plaza.umin.ac.jp/j-jabs/32/32.247.pdf ↩
- 「しびれ」による痛みのメカニズムを解明 -糖尿病や血流障害によるしびれ治療薬の開発に期待- — 京都大学: http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/160317_1.html ↩
- 活性酸素と抗酸化物質の化学 中村成夫 日本医科大学基礎科学化学: http://www2.nms.ac.jp/jmanms/pdf/009030164.pdf ↩
- 生体内のレドックス(酸化還元)反応と活性酸素種 | 学校法人東邦大学: http://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/031624.html ↩
- 名古屋大学名誉教授 並木満夫 「化学と生物」とフリーラジカル: https://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~food/Dr.Namiki%20Review.pdf ↩