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HEALTH WORDS / 用語解説

腫瘍組織

Tumor tissue

腫瘍組織とは、異常な細胞の過剰な増殖によって形成された新生物の構造体を指し、腫瘍の本体を構成する実質と、それを支持する間質から成り立っている。1

腫瘍組織は、遺伝子変異やエピジェネティックな変化を蓄積した細胞が無制限に細胞分裂を繰り返すことで構築される。良性腫瘍の組織では、組織の構造や細胞の形態が正常な組織に比較的似ており、境界が明瞭で周囲の組織を圧排するように成長する特徴がある。これに対し、悪性腫瘍であるがんの組織では、細胞の異型性が強く、核の形態異常や核分裂像の増加が観察される。さらに、周囲の組織への浸潤や、血管やリンパ管を介した転移を引き起こす能力を持つ点が大きな相違点である。2

腫瘍組織の内部は均一ではなく、悪性腫瘍の進展に伴って多様な細胞集団が混在する腫瘍不均一性を示すことが多い。組織内には、腫瘍細胞自体だけでなく、線維芽細胞、免疫細胞(マクロファージやリンパ球など)、および血管内皮細胞といった非腫瘍性の間質細胞が豊富に含まれている。これらの間質成分は、細胞外マトリックスを産生・再構築しながら、腫瘍の微小環境を形成し、増殖因子やサイトカインを放出して腫瘍細胞の増殖、生存、浸潤を積極的に支援している。3

また、腫瘍組織はその急速な増殖速度に血管の新生が追いつかないため、組織内部に低酸素領域や栄養飢餓状態、アシドーシス(酸性環境)が生じやすい特性を持つ。このような過酷な微小環境は、腫瘍細胞の代謝を解糖系へシフトさせ(ワールブルク効果)、より悪性度の高いクローンの選択や治療抵抗性の獲得を誘導する要因となる。病理学的検査においては、採取した腫瘍組織を用いて組織診や免疫組織化学染色を行い、腫瘍の組織型、悪性度、および特定の分子標的の有無を評価することで、診断および治療方針の決定に不可欠な情報が提供される。4

参考文献・出典

  1. MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/腫瘍学/腫瘍の概要/腫瘍の生物学 ↩
  2. 南山堂 医学大辞典: https://www.nanzando.com/ ↩
  3. 国立がん研究センター 癌対策情報センター: https://ganjoho.jp/med_pro/index.html ↩
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ ↩