HEALTH WORDS / 用語解説
内側手網核
Medial habenular nucleus
内側手網核とは、間脳の一部である手網核を構成する左右一対の神経核の一つであり、大脳辺縁系と脳幹を結ぶ神経回路の中継点として情動や記憶、報酬系の制御に関与する構造物である。1
手網核は解剖学的に内側手網核と外側手網核の2つの主要な領域に大別され、そのうち内側手網核は線維連絡や細胞の配置において明確な特徴を有している。1
哺乳類の脳において、内側手網核は腹側被蓋野や中脳縫線核などの脳幹のモノアミン作動性神経核へ信号を送る重要な経路の一部をなし、ニコチン受容体を高密度に発現していることでも知られている。1
内側手網核の主要な入力源の一つとして中隔核が挙げられ、梁下野や外側中隔核からの神経線維が手網脚間路を経由して脚間核へと投射する回路を形成している。2
この手網脚間路は脳内でも非常に保存された神経線維束であり、内側手網核から脚間核への主要な出力経路として機能している。1
内側手網核の神経細胞は均一ではなく、いくつかの亜核に細分化されており、それぞれが異なる神経伝達物質や受容体を発現していることが組織学的な研究によって明らかにされている。1
近年の神経科学研究により、内側手網核はアセチルコリンやサブスタンスPなどの神経伝達物質を利用して情報処理を行っており、恐怖記憶の消去や不安行動の調節に深く関わっていることが示されている。1
また、内側手網核の機能異常はニコチン依存症やうつ病などの精神疾患の病態生理とも関連付けられており、創薬のターゲットとしても注目を集めている脳の領域である。1