HEALTH WORDS / 用語解説
前脊髄小脳路
anterior spinocerebellar tract
前脊髄小脳路とは、脊髄の白質に存在し、下肢や体幹からの固有感覚や皮膚からの感覚情報を小脳へと伝達する上行性の神経線維束である。1
前脊髄小脳路を構成する神経の細胞体は、脊髄の灰白質にある胸髄核(クラーク柱)や脊髄の中間帯、後角などに位置している。2
一次求心性線維によって末梢から入力された情報は、脊髄内でシナプスを介するかあるいは直接二次ニューロンに伝えられる。2
脊髄の灰白質で交叉して対側へ向かう神経線維が多い点に特徴があり、下行路などの情報と統合されながら脳幹を上行する。1
中脳や橋のレベルを経由したのち、主に上小脳脚を通って小脳の虫部や半球などの皮質に投射される。2
この神経路は、身体の運動中における関節の位置や筋肉の張力といった深部感覚の状況を小脳へフィードバックするために重要な役割を果たしている。1
小脳は前脊髄小脳路を介して得られた情報を利用し、姿勢の維持や随意運動の円滑な調節、協調運動の制御を行っている。2
臨床的には、前脊髄小脳路を含む脊髄の伝導路が障害されると、運動失調や平衡機能の異常など、小脳症状に類似した神経学的症状が現れることがある。1