HEALTH WORDS / 用語解説
姿勢
Posture
姿勢とは、身体の空間的な位置関係、あるいは重力に対する身体の保持状態を指す医学的・生理学的な用語である。1 広くは立位、座位、横臥位などの体位全般を意味し、狭義には各関節の屈曲・伸展などの組み合わせによる動的および静的な身体の構えを表現する。2
姿勢の制御および維持には、中枢神経系による高度な情報処理が関与している。 視覚系、前庭覚系、および体性感覚系(固有受容感覚を含む)からの感覚入力が統合され、脳幹、小脳、大脳基底核などの脳の各領域が協調して働くことで、重力下において身体の平衡が保たれる。3 これらの感覚統合機構に異常が生じると、平衡障害や姿勢保持困難を引き起こす原因となる。4
姿勢は大きく静的姿勢と動的姿勢に分類される。 静的姿勢とは、立位や座位などにおいて身体の位置を一定に保つ状態であり、抗重力筋と呼ばれる筋群の持続的な収縮によって維持される。1 一方、動的姿勢とは、歩行や走行、あるいは身体を移動させる最中に姿勢を変化させながら適応していく状態を指す。2 動的姿勢の制御においては、随意運動に先立って姿勢の乱れを予測し、体幹や下肢の筋肉をあらかじめ収縮させる先行性姿勢調節(APA)という重要な生理学的メカニズムが備わっている。1
臨床医学やリハビリテーション科学の分野において、姿勢の評価は筋骨格系疾患や神経疾患の診断、および治療方針の決定において極めて重要視される。 例えば、脊柱の側弯や過度の前弯・後弯といった不良姿勢は、特定の関節や筋肉に過剰な機械的ストレスをかけ、腰痛、肩こり、変形性関節症などの発症や悪化に関与することが知られている。5 また、パーキンソン病などの神経変性疾患では、前屈姿勢や姿勢反射障害が特有の臨床症状として現れるため、姿勢異常の観察は疾患の進行度を評価する上での重要な指標となる。6
参考文献・出典
- 標準生理学 第9版: https://www.valuebooks.jp/bp/VS-0046522304 ↩1 ↩2 ↩3
- 標準理学療法学・作業療法学 基礎理学療法学 第5版: https://www.medicalview.co.jp/books/book_detail. Ді=978-4-7583-1951-5 ↩1 ↩2
- トートマン人体解剖学 第9版: https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/b302638.html ↩
- 標準神経外科学 第14版: https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/9784260042123 ↩
- 標準整形外科学 第14版: https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/9784260042451 ↩
- 標準神経内科学 第5版: https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/9784260039291 ↩