HEALTH WORDS / 用語解説
呼吸仕事量
Work of Breathing
呼吸仕事量とは、肺を拡張および収縮させ、気道を通過する空気を動かすために呼吸筋が消費するエネルギー、あるいは物理的な仕事を指す。1 呼吸に伴う物理的な仕事は、胸郭および肺の弾性係数に逆らって組織を押し広げるための弾性仕事と、気道抵抗や組織の粘性抵抗に逆らって空気を流すための非弾性仕事(抵抗仕事)とに大別される。2
安静時の呼吸においては、呼吸仕事量は比較的小さく、代謝により産生される全身のエネルギーのわずかな割合を占めるに過ぎない。3 しかしながら、運動時や呼吸器疾患の増悪時には、換気量の増加や気道抵抗の増大に伴って呼吸仕事量が著しく増大する。2 特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの疾患では、呼気時の気道狭窄や肺気腫による肺の弾性収縮力の低下が生じるため、呼吸運動に必要な仕事量が健常者と比較して過剰に大きくなる。3
臨床医学の領域において、呼吸仕事量の測定や評価は、呼吸不全の病態把握や人工呼吸器の管理において極めて重要な指標となる。3 人工呼吸器を用いる際、患者の呼吸仕事量が過大である場合には、呼吸筋疲労を引き起こすおそれがあるため、適切なサポート設定を行って呼吸負荷を軽減させる必要がある。1 また、人工呼吸器からの離脱(ウィーニング)の可否を判断する上でも、患者自身の呼吸仕事量の大きさを評価することは臨床上有用な情報源となる。3