HEALTH WORDS / 用語解説
増殖能力
Proliferative capacity
増殖能力とは、細胞などの生物学的単位が、分裂を繰り返して自己の数を増加させる性質およびその潜在的な限界を指す医学・生物学上の概念である。1
生物の体を構成する細胞は、一般に一定の回数分裂した後に老化のプロセスに入り、細胞分裂を停止する性質を持っている。2
この細胞の寿命を規定する要因の一つとして、染色体の末端に位置するテロメアの短縮が知られており、細胞分裂が起こるたびにテロメアが短くなり、これが限界に達すると増殖能力が失われる。2
一方で、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)をはじめとする幹細胞は、テロメアの長さを維持あるいは修復するテロメラーゼなどの活性を保つことで、通常の体細胞と比較して極めて高い、あるいは無制限に近い増殖能力を維持している。3
また、がん細胞などの腫瘍組織を構成する細胞においても、増殖能力の制御機構に異常が生じることで、アポトーシスを回避しながら無限の増殖能力を獲得する特徴が認められる。4
このように、細胞の増殖能力の維持や喪失、あるいはその異常な亢進は、個体の発生、組織の再生や老化、さらには悪性腫瘍の進展といった多様な生命現象の根幹をなす極めて重要な要素である。2
参考文献・出典
- 文部科学省 ライフサイエンスデータベースプロジェクト - 統合テレビ: https://togotv.dbcls.jp/20210624.html ↩
- 国立研究開発法人 科学技術振興機構 - 科学技術情報プラットフォーム J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/52/6/52_307/_pdf ↩1 ↩2 ↩3
- 国立大学法人 京都大学 iPS細胞研究所 CiRA: https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/press/images/150702-180000.html ↩
- 国立研究開発法人 国立がん研究センター - がん情報サービス: https://ganjoho.jp/public/cancer/what_is_cancer/cell.html ↩