HEALTH WORDS / 用語解説
小児悪性腫瘍
Pediatric Malignancies
小児悪性腫瘍とは、小児期に発生する悪性腫瘍(がん)の総称であり、成人に発症するがんとは異なる特徴を持っています。1
小児がんとも呼ばれ、白血病、脳腫瘍、悪性リンパ腫、神経芽腫、腎腫瘍(ウィルムス腫瘍)、横紋筋肉腫などの肉腫が多く見られます。1
成人のがんが生活習慣や環境要因に大きく影響されて上皮組織(胃や肺などの粘膜)から発生しやすいのに対し、小児悪性腫瘍は胚細胞や造血器、間葉系組織などの遺伝子変異や発生学的な異常に起因することが多く、体の発育過程と深く結びついています。2
発生頻度としては、成人のがんに比べて極めて稀であり、我が国においては年間約2000人から2500人の小児が診断されています。3
しかし、小児期における死亡原因としては不慮の事故に次いで第2位を占めており、医学的および社会的に極めて重要な疾患群と位置づけられています。2
症状は発熱、貧血、リンパ節腫脹、骨痛、歩行障害、腹部腫瘤など多岐にわたり、初期には風邪や成長痛などの良性疾患と鑑別がつきにくいことが特徴です。1
診断には、血液検査、画像検査(CT、MRI、超音波検査など)、そして病巣の組織を採取して病理学的に確認する生検が必要となります。3
治療の中核となるのは化学療法(抗悪性腫瘍薬を用いた薬物療法)であり、外科手術や放射線療法を集学的治療として組み合わせて行われます。2
近年の医学の進歩、特に集学的治療の導入や支持療法(副作用の管理や感染症対策など)の向上により、小児悪性腫瘍の治癒率は著しく改善されています。1
現在では、多くの小児悪性腫瘍において5年生存率が70%から80%を超えるようになっています。2
その一方で、抗悪性腫瘍薬や放射線療法による晩期合併症(治療終了後数年あるいは数十年経ってから現れる内分泌障害、心機能障害、二次がんなど)が問題となることがあります。3
そのため、身体的、精神的、社会的な側面を含めた長期的なフォローアップ体制(長期フォローアップ外来など)の構築が不可欠とされています。2
また、成長期にある小児が長期の入院治療を余儀なくされるため、病院内学級における教育支援や、心理社会的ケアを行うチャイルド・ライフ・スペシャリストなどの多職種による支援チームの介入が重要視されています。3