HEALTH WORDS / 用語解説
幹細胞治療
Stem cell therapy
幹細胞治療とは、自己複製能と多様な細胞への分化能を持つ幹細胞を利用して、損傷した組織や臓器の機能を再生・修復する医療技術のことである。1
幹細胞治療は、現代の再生医療の中心を担うアプローチの一つとして位置づけられており、多様な疾患に対する根治的治療法としての応用が期待されている。2
人体を構成する様々な細胞の元となる幹細胞には、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)のようにあらゆる細胞に分化できる多能性を持つものや、特定の系統の細胞にのみ分化する体性幹細胞が存在する。3
これらの幹細胞を体外で適切に培養・増殖させ、あるいは特定の細胞へと分化誘導した上で、患者の体内へ移植することによって失われた組織の再生を図るのが基本的な治療メカニズムである。1
臨床応用において、骨髄移植や末梢血幹細胞移植といった造血幹細胞を用いた移植医療は、すでに白血病や悪性リンパ腫などの血液疾患に対する標準治療として広く確立されている。4
さらに近年では、神経変性疾患、心筋梗塞、脊髄損傷、糖尿病、肝疾患など、従来の薬物療法では治癒が困難であった難治性の疾患や外傷に対しても、幹細胞治療の臨床試験や治験が国内外で精力的に進められている。2
一方で、幹細胞治療の実施にあたっては、腫瘍化(がん化)のリスク、免疫拒絶反応、あるいは未承認の細胞加工製品による健康被害といった安全性に関する重大な課題も指摘されている。1
そのため、我が国においては、再生医療等安全性確保法などの厳格な法規制のもとで臨床研究や治療が管理されており、有効性と安全性の双方が科学的根拠に基づいて慎重に評価されている。3
参考文献・出典
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/index.html ↩1 ↩2 ↩3
- 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008589050-00 ↩1 ↩2
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0002.html ↩1 ↩2
- 国立がん研究センター: https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/stem_cell/index.html ↩