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HEALTH WORDS / 用語解説

多能性前駆細胞

Pluripotent progenitor cell

多能性前駆細胞とは、限られた系統の細胞へ分化する能力を持つ前駆細胞の一種であり、複数の異なる細胞質や組織の系統へ分化する能力を備えた細胞のことである。1 発生学および幹細胞生物学の分野において、受精卵のようなあらゆる組織へ分化できる全能性や、体内のほぼ全ての細胞種に分化できる多能性(pluripotency)を厳密に有するES細胞などの多能性幹細胞とは異なり、多能性前駆細胞はより分化の方向性が限定された細胞集団を指すことが多い。2 しかしながら、単一の系統のみに分化が運命づけられた分化前駆細胞と比較すると、複数系統への分化能を維持している点に大きな特徴がある。

生物の個体発生の過程や成体における組織幹細胞の分化階層において、幹細胞から最終的な成熟細胞へと至る中間段階として多能性前駆細胞が現れる。3 例えば、造血系の幹細胞である造血幹細胞は、自己複製能を維持しながら多能性前駆細胞を経て、骨髄系やリンパ系といった各血球系へと分化の方向を狭めていく。3 この過程において、共通骨髄系前駆細胞や共通リンパ系前駆細胞といった細胞が多能性前駆細胞としての役割を果たし、それぞれの系統に属する多様な血球の供給源となる。

再生医学や幹細胞治療の研究においては、多能性前駆細胞の分化機構を解明し制御することが重要な課題となっている。2 人工多能性幹細胞(iPS細胞)やES細胞などの多能性幹細胞を目的の組織へ分化誘導する際、細胞は一度多能性前駆細胞様の中間状態を経由することが多く、この段階での遺伝子発現やエピジェネティクスの制御を解析することで、効率的かつ安全な細胞生産技術の確立が進められている。1

参考文献・出典

  1. ライフサイエンス新着論文レビュー: https://first.lifesciencedb.info/archives/11490 ↩1 ↩2
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000057850.pdf ↩1 ↩2
  3. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/49/11/49_1070/_pdf/-char/ja ↩1 ↩2