HEALTH WORDS / 用語解説
後交通動脈
Posterior communicating artery
後交通動脈とは、脳底動脈と内頸動脈を結ぶ脳底面の血管である。1
後交通動脈は、脳の底部において左右の大脳半球に血液を供給するウィリス動脈環を構成する重要な吻合血管の一つである。2
この動脈は、内頸動脈の眼動脈分岐部よりやや遠位側から移行し、後大脳動脈へと連絡している。1
脳の動脈輪における前交通動脈および左右の後交通動脈の存在により、脳の血管の一部が閉塞した際にも、側副血行路を介して血流が代償される仕組みが維持されている。2
臨床医学において、後交通動脈の分岐部は脳動脈瘤が好発する部位の一つとして知られており、動脈瘤が形成された場合には動脈硬化や高血圧などの因子が関与することがある。3
また、後交通動脈の起始部の近傍には動眼神経が走行しているため、同部位に動脈瘤の拡大や破裂、あるいは圧迫が生じた場合には、動眼神経麻痺に起因する瞳孔不同や眼瞼下垂などの神経症状が引き起こされることがある。3
後交通動脈の形態には個人差や左右差が大きく、細小血管として発育不良である場合や、一側または両側が胎児型大脳動脈として太く維持されている解剖学的変異が存在する。1
このような血管の破格や変異は、脳血管障害の診断や脳神経外科手術、および血管内治療を行う際に十分な評価が求められる重要な解剖学的要素である。3