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HEALTH WORDS / 用語解説

心保護作用

Cardioprotection

心保護作用とは、心筋組織に対して虚血や再灌流、あるいは各種の薬剤や炎症などによる細胞傷害を軽減・回避し、心機能を維持または改善する生化学的および生理学的な作用の総称である。1

この作用は、主に心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患の治療、および心臓外科手術時における人工心肺使用時の心筋保護において極めて重要な概念として位置づけられている。2

虚血性心疾患の病態下では、冠動脈の血流が途絶あるいは著しく低下することにより、心筋細胞への酸素および栄養素の供給が不足する。3

この状態が持続すると心筋細胞は壊死に至るが、心保護作用を有する薬剤や虚血プレコンディショニングなどの生体防御機構は、細胞死の主要な原因であるアポトーシスやネクローシスの誘導を抑制する。1

また、閉塞した血管が再開通し血流が再開する再灌流時には、過剰な活性酸素種(ROS)の産生やカルシウム過負荷が生じ、かえって組織障害が拡大することが知られており、これを虚血再灌流障害と呼ぶ。3

心保護作用には、この再灌流障害を引き起こす活性酸素の消去や、ミトコンドリア膜電位の維持、細胞内へのカルシウムイオン過剰流入の阻止といった機序が含まれている。1

薬理学的には、β遮断薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬、カルシウム拮抗薬などの各種循環器用薬が、長期的な心筋リモデリングの抑制や心不全の進展防止といった文脈において心保護作用を発揮することが示されている。1

さらに、心臓手術の分野においては、心筋の代謝を低下させ、エネルギー枯渇を防ぐ目的で特殊な心筋保護液が用いられており、これも周術期の心保護作用を担う重要な医療技術である。2

参考文献・出典

  1. 医薬品医療機器総合機構 添付文書情報: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultPDF/490013_2190014F1022_1_07 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. 厚生労働省 医療技術評価提案書: https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000100435.pdf ↩1 ↩2
  3. 国立循環器病研究センター 循環器情報サービス: https://www.ncvc.go.jp/oval/education/glossary/cvd-045.html ↩1 ↩2