HEALTH WORDS / 用語解説
栄養細胞
Vegetative cell
栄養細胞とは、生物の生活環において胞子などの休眠状態にある細胞とは対比的に、通常の代謝や成長、分裂などの生命活動を行っている細胞全般を指す用語である。1
多くの微生物や植物、藻類などにおいて用いられる分類上の概念であり、特に過酷な環境下で休眠や耐久の役割特化を示す構造に対して、日々の維持機能を担う通常の細胞を明確に区別する際に使用される。2
例えば細菌の分野では、栄養状態が良好な環境下で分裂・増殖を行っている通常の細胞を栄養細胞と呼び、環境悪化に伴い形成される内生胞子などの耐久型構造とは生理学的な性質や耐熱性が大きく異なる。3
また、藍藻(シアノバクテリア)などの多細胞性の藻類においても、通常の光合成や代謝を営む栄養細胞のほかに、窒素固定を専門に行う異質細胞(ヘテロシスト)や、過酷な環境を耐え抜くアキネート(休眠細胞)といった分化した細胞形態が存在し、それらと区別されるベースの細胞として栄養細胞という名称が使われる。4
真核生物である真菌(カビや酵母)や植物の生活環においても、胞子の発芽によって生じた後に栄養成長を続ける通常の細胞群は栄養細胞として扱われ、遺伝的情報の伝達や組織の形成といった基本的な生体機能を維持する役割を担っている。1
このように栄養細胞は、特殊な環境適応や繁殖のための休眠構造体に対する相対的な概念として、幅広い生物学的文脈で用いられている基本用語の一つである。2
参考文献・出典
- 生物学用語辞典: https://www.kyoritsu-pub.co.jp/book/b10011504.html ↩1 ↩2
- 原生生物情報サーバ: http://mblab.s.kanazawa-u.ac.jp/ibm/others/glossary.html ↩1 ↩2
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906019556758414 ↩
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201007026779428517 ↩