HEALTH WORDS / 用語解説
横川吸虫
Metagonimus yokogawai
横川吸虫とは、ヒトを含む哺乳類や鳥類の小腸に寄生する小型の吸虫の一種である。1 本種は扁形動物門 吸虫綱 斜睾吸虫目 異形吸虫科に分類される寄生虫であり、人体寄生虫としてはわが国において古くから知られている疾患の原因生物の一つである。2
成虫の虫体は非常に小さく、体長は約1.0から1.5ミリメートル、体幅は約0.4から0.7ミリメートル程度の洋梨状または楕円形をしている。1 体表には多数の小さな小棘が覆っており、口吸盤と腹吸盤を有しているが、腹吸盤は虫体の中央部からやや左側に偏って存在しているという形態学的な特徴を持つ。2
横川吸虫の生活環は複雑であり、終宿主、第一中間宿主、第二中間宿主の3種類の宿主を必要とする。1 終宿主であるヒトやイヌ、ネコなどの腸管内で産卵された虫卵は、糞便とともに外界へ排出される。2
虫卵が水中に排出されると、その中にあるミラシディウム(毛幼虫)が第一中間宿主であるカワニナ属などの淡水貝に摂食されることで体内に取り込まれる。1 貝の体内において、ミラシディウムはスポロシスト、レディアを経てセルカリア(尾幼虫)へと発育・増殖する。2
貝から水中に泳ぎ出たセルカリアは、第二中間宿主であるアユやシラウオ、ウグイなどの淡水魚の体表や筋肉に侵入し、そこで被嚢してメタセルカリア(嚢状幼虫)となる。1 終宿主であるヒトが、これらの淡水魚を生食あるいは加熱不十分な状態で摂食することにより、消化管内でメタセルカリアが脱嚢し、小腸の粘膜に寄生して成虫へと発育する。2
感染した場合の臨床症状としては、多数の虫体が寄生することで腹痛、下痢、消化不良などの腸炎症状を引き起こすことがある。1 また、虫卵や成虫の代謝産物が血流に乗って異所性寄生を起し、稀に心臓や脳などの重要臓器に迷入することで重篤な合併症を引き起こす危険性も指摘されている。2
診断には、患者の糞便検査を行い、糞便中から特徴的な虫卵を検出することが一般的に行われる。1 予防においては、アユなどの第二中間宿主となる淡水魚を生食せず、十分に加熱してから摂取することが最も確実かつ重要な対策とされている。2