HEALTH WORDS / 用語解説
水晶体皮質
Lens cortex
水晶体皮質とは、眼の内部に存在してレンズの役割を果たす水晶体の実質部分において、核を取り囲む外側(表層)の領域のことである。1 水晶体は二凸レンズ状の組織であり、中心部の硬い「核」と、その周囲を取り巻く柔らかい「皮質」の二つの領域に大別される。2
水晶体は周囲を水晶体嚢という薄い膜で覆われており、その内側に水晶体上皮が存在し、上皮細胞が分化・伸長することによって新しい水晶体線維が絶えず産生されている。3 新しく作られた水晶体線維は水晶体皮質の外層へと順次追加されていくため、生涯にわたって水晶体全体の体積や重さが増加し続ける特徴を持っている。2 水晶体皮質を構成する水晶体線維は長細い細胞であり、細胞内のタンパク質であるクリスタリンが高濃度に充満していることにより、光を効率よく透過させながら網膜へと屈折させる機能を担っている。4
水晶体皮質に関連する代表的な疾患として、白内障が挙げられる。1 白内障は水晶体が混濁する病気であり、加齢や紫外線、全身疾患などのさまざまな要因によって水晶体内のタンパク質が変性することで引き起こされる。5 白内障の病型の一つである皮質白内障は、水晶体皮質から混濁が始まるものであり、初期には周辺部の皮質に楔状(くせじょう)の混濁が生じ、やがて中心部へと進行するにつれて視力低下や眩しさ、かすみ目などの症状が現れる。5
水晶体皮質の濁りが進行し、日常生活に支障をきたす場合には、手術療法が選択されることが一般的である。4 現代の一般的な白内障手術では、超音波を用いて濁った水晶体皮質や核を乳化させて吸引し、水晶体嚢を残したままその内部に人工の眼内レンズを挿入する術式が広く行われている。5 このように、水晶体皮質は眼の屈折調節や視機能を維持する上で不可欠な構造であると同時に、加齢に伴う眼科疾患の好発部位としても医学的に重要な意味を持っている。1
参考文献・出典
- 日本眼科学会: https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?general_id=31 ↩1 ↩2 ↩3
- MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/07-眼疾患/眼の構造と機能/眼の構造 ↩1 ↩2
- 南山堂 医学大辞典: https://www.nanzando.com/ ↩
- 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/eye/ye-046.html ↩1 ↩2
- MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/07-眼疾患/白内障 ↩1 ↩2 ↩3