HEALTH WORDS / 用語解説
潜伏期
Incubation period
潜伏期とは、病原体が宿体に感染してから、最初の臨床症状や徴候が発現するまでの期間のことである。1
感染症の流行対策や公衆衛生学的介入において、潜伏期は極めて重要な指標となる。2
多くの感染症において、潜伏期の長さは一定ではなく、病原体の種類や個々の宿主の免疫状態、感染した病原体の量などによって変動する。3
一般的に、潜伏期の間は臨床症状が表れないため患者本人は感染に気づきにくいが、疾患によってはこの期間であっても他者への感染性を有する場合が存在する。1
潜伏期の正確な把握は、濃厚接触者に対する健康観察の期間設定や、隔離・検疫措置を講じる上で欠かせない基礎データとなる。2
例えば、接触者追跡を行う際には、想定される最大の潜伏期を考慮して追跡期間が決定される。2
また、新興感染症が発生した初期段階においては、その疾患の潜伏期を迅速に推定することが、防疫計画を立案する上で最優先課題の一つとなる。3
学術的な研究においては、感染が成立した正確な時点を特定することが困難であるため、潜伏期は統計学的な手法を用いて確率分布として算出されることが多い。2
臨床現場においては、患者の症状発現前の行動歴と潜伏期の長さを照らし合わせることで、感染経路を特定するための疫学調査に活用されている。1