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HEALTH WORDS / 用語解説

東部ウマ脳炎

Eastern Equine Encephalitis

東部ウマ脳炎とは、東部ウマ脳炎ウイルス(Eastern equine encephalitis virus: EEEV)の感染によって引き起こされる重篤な人獣共通感染症(ズーノーシス)であり、馬やヒトに脳炎をもたらすアルボウイルス感染症の一つである。1

病原体である東部ウマ脳炎ウイルスは、トガウイルス科(Togaviridae)アルファウイルス属(Alphavirus)に分類されるシングルストランドRNAウイルスである。1

本ウイルスの主要な自然宿主は野鳥であり、吸血昆虫である蚊(主にカプリセタ・メラヌラなどの吸血蚊)が鳥類の間での伝播を担っているため、生態系における維持循環の基盤となっている。2

ヒトや馬は終宿主(行き止まり宿主)であり、感染した蚊に叮咬されることによって偶然に感染するが、ヒトからヒトへ、あるいは動物からヒトへ直接感染が拡大することはない。1

地理的には主として北アメリカ大陸の東部および南部、中米、カリブ海地域、そして南アメリカ大陸の一部に分布しており、湿地帯や森林地帯などの環境において流行しやすい特徴がある。2

臨床症状としては、蚊に叮咬されてから通常3〜10日程度の潜伏期を経て発症し、発熱、頭痛、嘔吐、筋肉痛などのインフルエンザ様疾患に似た初期症状が急激に現れる。1

病状が進行すると、中枢神経系への侵襲により脳炎を引き起こし、意識障害、痙攣発作、昏睡、さらには神経学的脱落症状といった重篤な神経症状を呈するようになる。2

東部ウマ脳炎は、ウマおよびヒトの双方においてアルボウイルス脳炎の中で最も致死率が高い疾患の一つとして知られており、ヒトにおける致死率は30%から数割に及び、生存者においても高率で重度の神経学的後遺症が残存する。1

診断にあたっては、臨床的特徴や流行地への渡航歴・滞在歴を考慮した上で、血清学的検査(IgM捕捉ELISA法などによる抗体検査)や遺伝子検査(RT-PCR法)を用いてウイルスの特異的検出が行われる。1

現在、ヒトに対して承認された特異的抗ウイルス薬は存在せず、治療は対症療法が主体となり、集中治療室における気道管理、輸液管理、脳浮腫の軽減、抗けいれん薬の投与などの支持療法が生命維持のために不可欠である。2

予防の観点においては、蚊の叮咬を防ぐことが最善の対策であり、防虫剤(DEETなど)の使用、長袖・長ズボンの着用、網戸の設置や蚊帳の利用、水たまりの排除といった環境整備が推奨されている。1

また、ウマに対しては不活化ワクチンなどの動物用ワクチンが開発されており、流行地域において定期的な予防接種を行うことが家畜の感染防止および発症抑制に極めて有効である。2

参考文献・出典

  1. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/411-eee-intro.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/b/shiryo/dl/000216744.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5