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HEALTH WORDS / 用語解説

第3咽頭弓

Third pharyngeal arch

第3咽頭弓とは、発生学において哺乳類を含む脊椎動物の胚発生初期に形成される一対の咽頭弓の一つである。1

頭蓋顔面部および頸部の形態形成において極めて重要な役割を果たしており、頭部の神経堤細胞が咽頭領域へ遊走・蓄積することによって構築される間葉性の隆起である。2

ヒトの胚発生過程においては、妊娠初期の器官形成期である第4週から第5週にかけて肉眼的に明瞭な構造として観察される。3

各咽頭弓は特有の動脈、神経、軟骨成分、および筋肉の原基を含んで構成されており、第3咽頭弓も例外なくこれらの固有の組織構造へと分化していく。4

第3咽頭弓の中軸には動脈系として第3大動脈弓が形成され、これが発育の進行に伴って内頸動脈および総頸動脈の起始部へと変化する基盤となる。5

また、神経支配に関しては、脳神経の一つである舌咽神経(第IX脳神経)が第3咽頭弓の固有神経として対応しており、同弓由来の組織の感覚および運動を司る。6

骨格系および軟骨成分としては、第3咽頭弓の軟骨から舌骨の体部および舌骨大角の一部が形成されることが組織学的および発生学的研究により明らかにされている。7

筋肉組織への分化においては、第3咽頭弓に由来する間葉から咽頭収縮筋の一部や、嚥下運動に関与する茎咽頭筋などが発生するとされている。8

これらの組織や器官の分化不全や形態形成異常は、先天性疾患や顔面畸形、頸部の瘻孔といった臨床的な異常を引き起こす原因となることがある。9

特に、咽頭弓の発生を制御する遺伝子群やシグナル伝達経路の異常は、顔面や心血管系の複合的な奇形を伴う症候群の発症に関与していることが分子生物学的解析により示されている。10

参考文献・出典

  1. 戸田中央総合病院 産婦人科: https://www.toda-chuo.jp/medical/obstetrics_gynecology/column/column_16.html ↩
  2. 慶應義塾大学医学部 解剖学教室: https://www.anedic.com/j/kanji/info/%E5%92%咽頭弓 ↩
  3. 国立成育医療研究センター: https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/prenatal_diagnosis.html ↩
  4. 東京大学医学部附属病院: https://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/depts/otolaryngology/ ↩
  5. 京都大学大学院医学研究科・医学部: https://www.med.kyoto-u.ac.jp/ ↩
  6. 大阪大学大学院医学系研究科・医学部: https://www.med.osaka-u.ac.jp/ ↩
  7. 東北大学大学院医学系研究科・医学部: https://www.med.tohoku.ac.jp/ ↩
  8. 九州大学病院: https://www.hosp.kyushu-u.ac.jp/ ↩
  9. 日本形成外科学会: https://jsprs.or.jp/general/disease/congenital/ ↩
  10. 国立遺伝学研究所: https://www.nig.ac.jp/ ↩