HEALTH WORDS / 用語解説
絨毛間腔
Intervillous space
絨毛間腔とは、胎盤内において母体の血液が満たされている空間のことである。1
ヒトを含む霊長類などの血絨毛性胎盤において、絨毛間腔は母体と胎児の間で物質交換が行われる最も重要な場として機能する。2
母体側からは子宮体部の動脈であるラセン動脈を通じて、酸素や栄養素を豊富に含んだ母体血が絨毛間腔へと直接的に血流|血流として流れ込む構造になっている。3
この絨毛間腔の内部には、胎児由来の絨毛組織が無数に突き出しており、その表面は栄養外胚葉から分化した合胞体栄養細胞や細胞性栄養細胞といった細胞層によって覆われている。1
母体血は絨毛間腔を満たしながら、微小な絨毛の表面を直接的に洗い流すように還流するため、胎児側の毛細血管との間に厚い組織層を挟むことなく、効率的な物質交換が可能となっている。2
具体的には、絨毛間腔を流れる母体血から、酸素やブドウ糖をはじめとする各種栄養素、電解質、抗体などが胎盤の絨毛膜を透過して胎児側へ移行する。1
これと同時に、胎児の代謝によって生じた二酸化炭素や老廃物などの不要な物質は、胎児血から絨毛を介して絨毛間腔の母体血へと放出される。4
物質交換を終えた血液は、絨毛間腔から子宮静脈を通じて母体の循環系へと回収されていく。2
このように、絨毛間腔は単なる血液の貯留場所ではなく、胎児が子宮内で成長するために不可欠な呼吸、栄養補給、排泄のすべてを仲介するきわめて重要な解剖学的空間である。1
参考文献・出典
- 胎盤の構造と機能 - J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjocog/65/5/65_5_561/_pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- 妊娠初期における胎盤形成と母児間免疫寛容 - J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/ryumachi/55/6/55_6_683/_pdf ↩1 ↩2 ↩3
- 胎盤の発生と構造 - 大阪大学: https://www.osaka-u.ac.jp/ja/guide/about/press/2023/20230620_1 ↩
- 胎盤の発生と構造 - 大阪大学: https://www.osaka-u.jp/ja/guide/about/press/2023/20230620_1 ↩