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HEALTH WORDS / 用語解説

脳画像研究

Brain Imaging Research

脳画像研究とは、ヒト生体における脳の構造や機能を非侵襲的に可視化し、その形態学的特徴や生理学的動態を解析する学術領域である。1 主として医学、生物学、認知科学などの分野において、中枢神経系の神経回路ネットワークや精神疾患・神経疾患の病態解明を目的として広く用いられている。2

脳画像研究の歴史的展開において、初期にはX線を用いたコンピュータ断層撮影(CT)や、放射性同位元素を用いた単一光子放射断層撮影(SPECT)およびポジトロン断層法(PET)などの核医学的手法が中心的な役割を果たしてきた。3 特にPETは、脳血流やブドウ糖代謝、特定受容体の分布などを定量的に評価することを可能にし、脳機能の局在に関する知見を飛躍的に深化させた。4

近年では、強い静磁場と電磁波を利用して脳の微細な構造を描出する磁気共鳴画像法(MRI)が、脳画像研究の主流となっている。5 MRIを用いることで、白質の神経線維束の走行を評価する拡散テンソル画像(DTI)や、神経活動に伴う局所的な血流動態の変化をBOLD信号として捉える機能的磁気共鳴画像法(fMRI)など、多様な撮影法が開発されている。6 これにより、安静時における脳の自発的な活動パターンを解析する安静時fMRI(rs-fMRI)などを用いた機能的結合の研究が盛んに行われている。7

脳画像研究は、アルツハイマー病などの認知症や、統合失調症、うつ病といった精神疾患における脳の形態異常や機能異常を同定する上で不可欠な手法となっている。8 また、脳卒中後の機能回復過程における脳可塑性の評価や、外科手術前における脳機能局在の同定(ニューロナビゲーションへの応用)など、臨床医学の現場でも直接的に活用されている。9

さらに、近年の統計学的解析手法や人工知能(AI)・機械学習技術の導入により、大量の脳画像データから個体ごとの特徴を高精度に分類・予測する試みが進められている。10 このように、脳画像研究は単なる画像診断の枠組みを超えて、ヒトの認知機能や意識の基盤を解明するための基礎科学的アプローチとしても極めて重要な位置を占めている。11

参考文献・出典

  1. 文部科学省 脳科学研究戦略推進プログラム: https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/kiban/h23/1314643.htm ↩
  2. 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所: https://www.ncnp.go.jp/nimh/index.html ↩
  3. 厚生労働省 脳卒中・心血管病対策に関する国民会議: https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_427218.html ↩
  4. 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所: https://www.qst.go.jp/site/qms/ ↩
  5. 理化学研究所 脳神経科学研究センター: https://cbs.riken.jp/jp/ ↩
  6. 国立情報学研究所 科学研究費助成事業データベース: https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18H05285/ ↩
  7. 日本磁気共鳴医学会 磁気共鳴医学用語辞典: https://www.jsmrm.jp/modules/glossary/index.php?content_id=1 ↩
  8. 日本精神神経学会 精神医学用語集: https://www.jspn.or.jp/publication/glossary/ ↩
  9. 日本脳神経外科学会 脳神経外科用語集: https://jns.umin.ac.jp/ ↩
  10. 国立保健医療科学院 医療情報データベース: https://www.niph.go.jp/soshiki/gijutsu/index.html ↩
  11. 日本学術会議 脳とこころのプライマリ・ケア: https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-21-t169-3.html ↩