HEALTH WORDS / 用語解説
膜電流
Membrane Current
膜電流とは、生体膜(細胞膜)を通過して流れるイオンの移動による電流のことである。1
神経細胞や筋細胞などの興奮性細胞においては、細胞外から内へ、あるいは内から外へとイオンが移動することによって膜電位が変動し、様々な生理学的機能が引き起こされる。2
細胞膜には様々なイオンチャネルやトランスポーター、ポンプといった膜タンパク質が存在しており、これらが特定のイオンに対して選択的に膜を通すことで膜電流が生成される。1
膜電流の大きさや方向は、膜電位の大きさ、細胞内外のイオンの濃度勾配、およびイオンチャネルの開閉状態によって決定される。1
パッチクランプ法などの電気生理学的な計測技術を用いることで、細胞膜全体を流れる全細胞電流や、膜の微小な領域にある単一のイオンチャネルを流れる単一チャネル電流を高精度に測定することが可能となった。1
神経系における活動電位の発生や伝導は、ナトリウムチャネルやカリウムチャネルなどの電位依存性チャネルを介した膜電流の時間的・空間的な変化によって引き起こされる。2
また、心筋細胞においても、カルシウムチャネルなどを通じた膜電流が心筋の収縮や心電図の波形形成において極めて重要な役割を果たしている。1
このように、膜電流の解析は神経科学や循環器学をはじめとする幅広い医学・生物学の分野において、細胞の興奮メカニズムを理解するための基礎的なアプローチとなっている。2