ホーム蛋白漏出

HEALTH WORDS / 用語解説

蛋白漏出

Protein-losing

蛋白漏出とは、血中のタンパク質(主としてアルブミンなど)が通常のルートを外れて血管外や消化管・腎臓などの管腔内へ異常に流出する病態の総称である。1 臨床的には、低アルブミン血症を引き起こす主要な機序の一つとして知られており、全身の浮腫や胸水、腹水などの原因となる。2

蛋白漏出を引き起こす代表的な疾患群として、蛋白漏出性胃腸症(Protein-losing gastroenteropathy: PLGE)が挙げられる。2 これは胃や腸管の粘膜に何らかの異常が生じ、本来なら体内に保持されるべき血漿タンパク質が消化管の管腔内へと直接失われる病態である。3 リンパ管拡張症、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、あるいは重症の心不全に伴う静脈圧上昇などが原因となり、腸管からのタンパク質の喪失が加速される。2

また、腎臓の糸球体における濾過バリアの破綻によっても大量の蛋白漏出が生じる。4 ネフローゼ症候群では、糸球体のポドサイト(足細胞)や基底膜の障害により、血液中のアルブミンなどのタンパク質が尿中へと過剰に漏出する。5 この腎臓からの蛋白漏出は、持続的な低蛋白血症をもたらし、膠質浸透圧の低下を介して全身性の浮腫や脂質異常症を誘発する。4

さらに、重度の熱傷や広範囲の皮膚炎においても、皮膚のバリア機能が喪失することによって体液とともに多量のタンパク質が体外へ漏出する。6 このように、蛋白漏出は消化管、腎臓、皮膚など様々な臓器の障壁破綻や脈管系の異常によって引き起こされ、基礎疾患の診断および栄養状態の管理において極めて重要な病態生理学的指標となっている。1

参考文献・出典

  1. 南山堂 医学大辞典: https://www.nanzando.com/ ↩1 ↩2
  2. MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/04-消化器疾患/胃腸障害/タンパク漏出性胃腸症 ↩1 ↩2 ↩3
  3. 厚生労働省 難治性疾患克服研究事業に関する資料: https://www.mhlw.go.jp/ ↩
  4. 日本腎臓学会 腎臓病用語集: https://jsn.or.jp/ ↩1 ↩2
  5. 難病情報センター: https://www.難病情報センター.jp/ ↩
  6. 日本救急医学会 医学用語集: https://www.jaam.jp/ ↩