HEALTH WORDS / 用語解説
ATF2
Activating Transcription Factor 2
ATF2とは、転写因子の一種であり、bZIP型転写因子ファミリーに属するタンパク質である。1
c-Junやc-FosなどのAP-1構成成分とヘテロ二量体を形成することが知られており、cAMP応答配列などの特定の上流配列に結合して遺伝子発現を調節する。2
哺乳類の細胞において、ATF2はストレス応答、細胞周期の制御、アポトーシス、および細胞分化などの多様な生理学的プロセスにおいて中心的な役割を果たしている。2
分子生物学的な特徴として、ATF2はDNA結合ドメインのほかに、転写活性化ドメインを有している。1
この転写活性化ドメインは、JNK(c-Jun N-terminal kinase)やp38 MAPKといったMAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)経路を介したリン酸化を受けることで活性化される。2
紫外線照射や炎症性サイトカインなどの細胞外ストレスが加わると、キナーゼ群によってATF2の特定のアミノ酸残基がリン酸化され、その結果として標的遺伝子の転写が効率的に誘導される仕組みになっている。2
また、ATF2はヒストンアセチルtransferase(HAT)活性を持つことでも知られており、クロマチン構造のリモデリングを介して転写をエピジェネティックに制御する機能も併せ持っている。2
近年の研究では、ATF2の異常な発現や活性化が、悪性腫瘍の増大や転移、あるいは神経変性疾患などの病態形成に深く関与していることが示唆されており、新規治療標的としての臨床医学的な重要性も注目を集めている。2
参考文献・出典
- 蛋白質構造データバンク: https://pdbj.org/mine/summary/1nci ↩1 ↩2
- National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/1386 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6