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HEALTH WORDS / 用語解説

転写活性化ドメイン

Transcription activation domain

転写活性化ドメインとは、転写因子などのタンパク質内に存在し、遺伝子の転写を促進する機能を持つ領域のことである。1

真核生物における遺伝子発現の調節には、転写因子が特定のDNA配列(エンハンサーやプロモーター近傍の調節領域)に結合することが不可欠である。転写因子は一般的に、DNAと直接結合するDNA結合ドメインと、他のタンパク質と相互作用して転写を誘導する転写活性化ドメインの少なくとも2つの主要な領域(ドメイン)から構成されている。1

転写活性化ドメインは、RNAポリメラーゼIIを含む転写基本因子や、クロマチン構造を変化させるヒストン修飾酵素、コアクチベーターなどの様々な分子と物理的に相互作用を行う。この相互作用を介して転写開始複合体の形成を効率化し、遺伝子からのmRNAの合成速度を劇的に上昇させる働きを持つ。2

多くの場合、転写活性化ドメインは特定のアミノ酸組成に基づいていくつかの種類に分類される。代表的なものとして、アスパラギン酸やグルタミン酸などの酸性アミノ酸が豊富に含まれる酸性活性化ドメイン、グルタミンに富むグルタミンリッチドメイン、プロリンに富むプロリンリッチドメインなどが知られている。これらの領域は、立体構造が固定されていない天然変性タンパク質領域であることが多く、複数の異なる標的分子と柔軟に結合できる性質を持っている。3

転写活性化ドメインの機能異常や変異は、遺伝子発現の異常を引き起こし、様々な疾患の原因となることがある。例えば、がん抑制遺伝子であるp53などのタンパク質においても転写活性化ドメインが存在し、その正常な働きが細胞周期の停止やアポトーシスの誘導に極めて重要な役割を果たしている。このように、転写活性化ドメインは細胞の増殖、分化、環境応答などの生命活動の根幹を支える極めて重要なタンパク質領域である。4

参考文献・出典

  1. 独立行政法人科学技術振興機構 ライフサイエンスデータベース統合推進事業: https://integbio.jp/dbcatalog/record/nbbr001552 ↩1 ↩2
  2. 東京大学 大学院理学系研究科・理学部: https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2016/4888/ ↩
  3. 国立情報学研究所 CiNii Research: https://ci.nii.ac.jp/naid/110001740924 ↩
  4. 国立国会図書館インターネット資料収集保存事業 WARP: https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11613867/www.nirs.qst.go.jp/publication/ronbun/pdf/99000570.pdf ↩