HEALTH WORDS / 用語解説
Drp1
Dynamin-related protein 1
Drp1(Dynamin-related protein 1)とは、ミトコンドリアの分裂(ミトコンドリア分裂)において中心的な役割を果たすダイナミンファミリーに属するGTPase(GTP加水分解酵素)の一種であるタンパク質である12。
細胞内においてミトコンドリアは、融合と分裂をダイナミックに繰り返すことで、その形態や機能、品質を一定に保っている1。 通常の状態では細胞質基質に存在しているDrp1であるが、ミトコンドリア分裂が誘導されるシグナルを受けると、ミトコンドリア外膜へと移行(局在)する性質を持っている1。
外膜に集積したDrp1は、GTP(グアノシン三リン酸)の加水分解エネルギーを利用してオリゴマーを形成し、ミトコンドリアを取り囲むようにリング状の構造体を組み立てる1。 このDrp1リングが収縮することによって物理的な切断力が生み出され、1つのミトコンドリアが2つに分裂すると考えられている1。
このミトコンドリア分裂のプロセスは、細胞内の恒常性維持やアポトーシス(細胞死)、さらには損傷を受けたミトコンドリアを選択的に排除するマイトファジーなどの代謝制御機構において極めて重要な意義を持っている13。 例えば、老化や酸化ストレスなどによって機能障害を起こしたミトコンドリアは、Drp1の働きによって健常な部分から切り離されることで、オートファジーによる分解の標的となる1。
近年の医学および生物学の研究においては、Drp1を介したミトコンドリアダイナミクスの破綻が、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患、心血管疾患、さらにはがんなどの様々な疾患の病態形成や進展に深く関与していることが明らかになりつつある2。 そのため、Drp1の活性や局在を制御する分子メカニズムの解明が進められており、これらを標的とした新たな治療薬の開発に向けた基礎研究も活発に行われている42。
参考文献・出典
- 国立研究開発法人 科学技術振興機構: https://www.jst.go.jp/pr/announce/20120224/index.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
- 国立大学法人 九州大学: https://www.kyushu-u.ac.jp/f/34407/16_07_20_02.pdf ↩1 ↩2 ↩3
- 国立大学法人 九州大学: https://www.kyushu-u..ac.jp/f/34407/16_07_20_02.pdf ↩
- 国立大学法人 科学技術振興機構: https://www.jst.go.jp/pr/announce/20120224/index.html ↩