HEALTH WORDS / 用語解説
H2N2
H2N2とは、A型インフルエンザウイルスのサブタイプの一つであり、赤血球凝集素(HA)が2型、ノイラミニダーゼ(NA)が2型であるウイルス株を指す。1 A型インフルエンザウイルスは、表面抗原であるHAとNAの組み合わせによっていくつかのサブタイプに分類されており、H2N2はその一つとして位置づけられている。2
H2N2型インフルエンザウイルスは、歴史的に人類の間で世界的な大流行(パンデミック)を引き起こした原因ウイルスとして知られている。1 1957年から1958年にかけて発生した「アジアインフルエンザ」は、このH2N2ウイルスによるものであり、世界中で多数の患者が発生し、大きな公衆衛生上の脅威となった。2 このパンデミックを引き起こしたH2N2ウイルスは、鳥インフルエンザウイルスの遺伝子がヒトインフルエンザウイルスの遺伝子と遺伝子再集合を起こすことによって変異し、ヒトからヒトへと効率よく感染する能力を獲得したと考えられている。2
インフルエンザウイルスはRNAウイルスであり、複製の過程でしばしば遺伝子変異を起こす特性を持っている。2 H2N2サブタイプにおいても、表面抗原の変異を通じて免疫回避のメカニズムを持つことがある。1 かつてアジアインフルエンザを経験した世代はH2N2に対する抗体を持っている可能性があるが、長期間にわたってこのサブタイプの自然感染や流行が起きていないため、現代の多くのヒト集団はこのウイルスに対する十分な免疫力を保持していないと懸念されている。2
そのため、H2N2は将来的に新たなパンデミックを引き起こす可能性のある新興感染症の原因ウイルスの一つとしても警戒されている。1 世界保健機関(WHO)や各国の中央政府機関では、鳥類や哺乳類の間で循環しているインフルエンザウイルスのサーベイランス(病原体サーベイランス|監視体制)を強化し、H2N2を含む様々なサブタイプのウイルスの動向を継続的に監視している。1 ウイルス学的な研究においては、H2N2の病原性や伝播性の評価が行われており、万が一の流行に備えてワクチンの株選定や備蓄、抗インフルエンザ薬の有効性確認などの対策が検討されている。2