HEALTH WORDS / 用語解説
H3N2v
H3N2v
H3N2vとは、主に豚の間で流行しているインフルエンザA型ウイルスの亜型のうち、ヒトへの感染が確認された変異型ウイルス(variant virus)の一つである。1 季節性インフルエンザウイルスとは遺伝的特徴が異なるため、ヒトの間では免疫がほとんどないか、あるいは非常に低い状態にあることが特徴とされる。2
H3N2vの「v」は、「variant(変異型)」を意味しており、通常は動物の間で循環しているインフルエンザウイルスがヒトに感染した事例を指すために用いられる用語である。1 このウイルスは、豚と密接に接触する環境において、動物からヒトへと感染(人獣共通感染症)することがあり、過去には豚肉や豚の飼育施設等に関連した感染事例が報告されている。2
H3N2vに感染した場合の臨床症状は、一般的な季節性インフルエンザと類似しており、発熱、咳、咽頭痛、鼻汁、筋肉痛、関節痛、疲労感などが現れる。1 また、症例によっては、悪心や嘔吐、下痢といった消化器症状を伴うこともある。1 多くの患者は軽症で回復するが、基礎疾患を有する高リスク者や高齢者、幼児などにおいては、肺炎などの重篤な合併症を引き起こすリスクがあり、入院や重症化に至るケースも存在する。2
H3N2vのヒトからヒトへの感染については、これまでに限定的な伝播が報告されたことはあるものの、持続的かつ効率的なヒトからヒトへの感染拡大を引き起こす能力は低いと考えられている。1 しかしながら、インフルエンザウイルスは遺伝子変異を起こしやすい性質を持つため、将来的にヒトの間で容易に感染広がるような新たな変異を獲得する潜在的リスクが懸念されており、公衆衛生上の監視体制(サーベイランス)が継続して行われている。2
H3N2vの予防および対策としては、豚などの動物との接触時に適切な衛生管理を行うことが重要である。1 具体的には、農業見本市や畜産施設等への立ち寄りの際における手洗いの徹底や、感染が疑われる動物との接触を避けることが推奨される。1 また、治療においては、ノイラミニダーゼ阻害薬などの抗インフルエンザ薬が有効であるとされており、早期発見と早期投与が症状の軽減や重症化防止に寄与すると考えられている。2