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HEALTH WORDS / 用語解説

IRAK3

IRAK3(Interleukin-1 receptor-associated kinase 3)とは、主として免疫細胞においてToll様受容体やインターロイキン-1受容体を介したシグナル伝達の負の制御因子として機能するタンパク質である。1 別名としてTollipやIRAK-Mとも称され、過剰な炎症反応を抑制して生体防御における免疫の恒常性を維持する上で重要な役割を担っている。2

IRAK3は、主に単球、マクロファージ、樹状細胞といった自然免疫を担う細胞で特異的に発現が誘導される。1 通常、病原体由来の分子が受容体に結合すると、IRAK1やIRAK4といったキナーゼが活性化されてNF-κBなどの転写因子が動き、炎症性サイトカインが産生される。2 しかし、IRAK3はこのシグナル伝達経路において、IRAK1やIRAK4と受容体複合体との解離を阻害するか、あるいはキナーゼ活性を競合的に抑制することで、下流へのシグナル伝達を遮断する。1 これにより、炎症の暴走や組織障害を引き起こす過剰な免疫応答が未然に防がれる仕組みになっている。2

近年の医学研究や学術論文においては、IRAK3の遺伝子多型や発現異常が様々な疾患の病態に関与していることが示唆されている。1 例えば、喘息などのアレルギー性疾患や慢性閉塞性肺疾患において、IRAK3の機能低下や発現変動が気道炎症の持続に関係しているという報告がある。2 また、敗血症の病態下では、免疫細胞が一時的に反応しなくなる免疫麻痺(エンドトキシン耐性)の誘導にIRAK3が深く関与していることが明らかにされている。1 このように、IRAK3は炎症の調節不全に起因する疾患のバイオマーカーや、将来的な治療薬の標的分子としても大きな注目を集めている遺伝子および分子である。2

参考文献・出典

  1. National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/11213 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  2. Gen_Enz: https://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=IRAK3 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5