HEALTH WORDS / 用語解説
MEN2
Multiple Endocrine Neoplasia type 2
MEN2とは、多発性内分泌腫瘍症2型(Multiple Endocrine Neoplasia type 2)の略称であり、複数の内分泌器官に腫瘍が発生する遺伝性の疾患である。1
常染色体優性遺伝形式を示し、RET遺伝子の生殖細胞系列における変異が原因となって発症する。2
MEN2は、臨床的な特徴や合併する腫瘍の種類により、さらにMEN2A、MEN2B、および家族性髄様甲状腺癌(FMTC)の病型に分類される。1
MEN2Aは最も頻度が高い病型であり、髄様甲状腺癌、褐色細胞腫、および副甲状腺機能亢進症の3つの内分泌腫瘍のうち2つ以上を発症するのが特徴である。1
MEN2Bは、髄様甲状腺癌と褐色細胞腫を合併する点ではMEN2Aと共通するが、副甲状腺機能亢進症は通常合併せず、特異的な粘膜神経腫やマランス様体型と呼ばれる体型、巨舌などを伴う最も重篤な病型である。1
家族性髄様甲状腺癌(FMTC)は、他の内分泌腫瘍を伴わず髄様甲状腺癌のみが家系内に多発する病型として定義される。2
原因遺伝子であるRET遺伝子は受容体型チロシンキナーゼをコードしており、この遺伝子に変異が生じることでシグナル伝達が恒常的に活性化され、細胞増殖の異常や腫瘍化が誘導される。2
髄様甲状腺癌はほぼすべてのMEN2患者で発生するため、早期発見と甲状腺全摘術などの適切な外科治療が予後を左右する極めて重要な要素となる。1
褐色細胞腫は副腎の髄質などに発生するカテコラミン産生腫瘍であり、高血圧や頭痛、動悸などの症状を引き起こすため、髄様甲状腺癌の手術に先立って褐色細胞腫の有無を評価し、必要に応じた治療を行う必要がある。1
副甲状腺機能亢進症を発症した場合には、高カルシウム血症や尿路結石などの合併症に対して副甲状腺切除術などの治療が選択される。1
近年ではRET遺伝子の変異部位と臨床像や悪性度との関連性が詳細に明らかにされており、遺伝子検査の結果に基づいて予防的甲状腺摘出術の時期を決定するなど、個別化医療が実践されている。2